出版社内容情報
「うつろい易きもの」の横溢する19世紀パリの相貌をドーミエは描き通した.人々の生活の様々な場面をとらえた作品群は,何を語りかけているのか.リトグラフィー109点を選び,その歴史的背景と細部に宿る意味を説き明かす.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
19
19C初頭、社会生理学を提起し、社会を新たな科学的認識の対象にしようとしたのはサン=シモン。認識対象としての社会の発見(8頁)。109枚もあるので、どれかは皮肉を共感できると思う。パリの風俗画は、都市を一つの 劇場として描ききっているといえる(101頁)。水不足の1830年のパリ。一人一日6ℓ。一年中顔を洗わないという文章もあるようだ(112頁)。おフランスもまた、当時は途上国さながらの厳しい生活環境とは。オテル・ガルニとは、家具付き滞在用ホテルで、貧民宿(118頁)。 2014/07/02
Francis
9
ドーミエは日本でも知られているけど、これほど詳しく彼の風刺画の世界を紹介した本はなかったのでは?彼の権力者やブルジョアへの批判の眼は鋭い。もっとも当時の家父長制的な家庭像からドーミエは抜けきれなかったなど、やはり彼にも限界はあったのではあるが、それは誰にも言えること。面白い。2016/09/08
モリータ
3
飛行機の中で読んだ。で、オルセー美術館で絵も塑像も現物が見られました。ミレーと同じ小部屋に展示されてたのがなんか意外でした。2015/03/12
のほほんなかえるさん
2
1枚の絵の中に「困った状況」と「人間の感情」が詰まっている。現代から見れば、物語の源泉だ。仏蘭西風刺画の世界へようこそ。2011/11/04
のうみそしる
1
当時に生きなければわからない習俗、うつろい易きものを捉えたドーミエの画力。フェミニストを揶揄する絵を描いたり、政権批判を禁止されて他国のことを描いたりと、当時の常識、状況下で生きる小市民然としており人間くさくて良い。後にその女性解放運動を描いた71番『女性市民の皆さん』は大胆な構図と人物の力強い動きが特徴的な傑作。その他気に入ったのは11番『ラファイエットはくたばった』40番『あれは臭くてさえないな!』、89番『大道芸人の立退き』。どれも市井の人々や歴史上の人物が本当に生きたことを伝えてくれる。2024/01/05
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