内容説明
一七世紀の海賊の驚くべき手記。グアム諸島からフィリピン、中国へ、故国イギリスを遠く離れ、一攫千金を夢見て船は進む。焼き討ちや略奪を重ね、嵐や伝染病に苦しむ航海、その途中で間近に接した動植物や言語風俗等、貴重な記録も満載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
56
経験と知識を求めて、船は東南アジアへ。寄港地も、無人島などが多かった西インド諸島方面とは違い、マニラやアチンなど交易の盛んな都市に。いきおい、現地の人々の習俗や生活についての描写が増えてきます。ココヤシの利用法やプランテインの木から布をつくること、ミンダナオ族の割礼の儀式や中国人の纏足についてなど、様々なものを仔細に見つめ克明に描く、その描写に何と様々な興味を掻き立てられたことでしょう。遠い地図上の島にどんな動植物があるのか、どんな人がどんな風に暮らしているのか、それを知る楽しさ、高揚に満ちた本でした。2019/08/28
ひでお
8
上巻に続き太平洋を横断してフィリピンから東南アジアを経由してイギリスに帰国するまでの記録。後半も精緻な記録が目を引きますが、いささか単調な文章です。上巻では、原住民にも敬意を払っているのかと思いましたが、連れ帰った原住民を見世物にしてしまうなど、白人視点には変わりはないことも判明。この時代の貴重な資料として読むのがいいのかも。2025/02/17
Tomozuki Kibe
3
下巻は太平洋から大西洋。フィリピンをうろうろして最後はセントヘレナを通じてゴール。いっそ日本に来てくれないかと思った。2022/11/10
とし
3
イギリス人海賊・ダンピア氏の世界周航記の後半。東南アジアで右往左往してるうちに、船長が人望を失い、船員の叛乱が起こって船長追放。航路はさらに迷走。ダンピア氏はスマトラ島あたりで船を下船し、アチンでしばらく暮らした後、イギリス行きの船に雇われて12年ぶりに帰国する。喜望峰までは波乱万丈だったけど、そこを過ぎれば貿易風に乗ってイギリスまであっという間に着いた印象。当時の人々の生々しい生き様がうかがえて、とても面白かった。2014/07/31
Decoy
2
元旦に読了。ダンピアの好奇心・観察力・危機回避力が、ずば抜けている。が、解説でも指摘されている通り、文学的価値はやや薄い感じで、やはり「報告書」の印象はぬぐえない。それでも充分面白いし、記録的な価値は大きい。2023/01/01