内容説明
エスパニョーラ島でおこった生き残りの島民たちによる「正義のたたかい」で幕を開け、つづいて、平和的な布教を可能にする空間をベネスエラ北岸に確保しようとして身を挺する司祭ラス・カサスのねばり強い運動と、それが挫折してゆくプロセスが再現される。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CCC
3
見慣れぬ地名、人名、うんざりするほど書かれる邪悪な所業、その根源にもなっている神への賛辞、そして強欲……。あらゆる意味で疲れる本だった。こんなに疲れる本は中々ない。2015/01/14
壱萬参仟縁
3
「正しく生きる人たちが善を堅持しつづけ、悪魔の誘惑をはねのけ、たとえ現世の恩顧や愉楽を断ち切っても、善を捨てることのなきよう励まされなければなりません」(122ページ)。善というものの価値が土着民と侵略者の間の闘争で、非常に重要なものであることが改めて自覚化させられた。7巻通して目を通したが、共通して目に留まる箇所は、結局、謙虚に過ごしている土着者を侵して、どんな異民族でも許されないことである。例えば、万里の長城のように陸続きならそういう壁を築けるが、島国ならなかなか防御策は講じられない。侵略はダメだ。2012/12/24