内容説明
第二次航海でエスパニョーラ島に到着したコロンブスが、自然の道理と人間の法に背いてはじめた事業の本質が問われる。キリスト教徒にインディオを分配するというインディアス全体を荒廃させる制度の創案者となるコロンブス兄弟の「無知盲目」の芽を筆者は見逃さない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
3
当地の民族が「きわめて純朴にして穏和、従順にして謙虚、物惜しみをしない心の広い人間であって、(略)すこぶる忍耐心に富んでいる」(40ページ)。平和な民族の心性に現代人も学ぶところ大である。提督は「重々しく権威に満ちており、頭髪はすでに白く、謙虚なほほえみを浮かべ、尊敬の念をもよおさせるようなその表情は、胸中の喜びと身の光栄とをありありとあらわしていた」(53ページ)。威圧的でないのが好感度↑。「苦悩と苦痛をいだきながら死んで行った」(158ページ)などというのは恐ろしいことだ。そんな末路にならないように。2012/12/24
-
- 和書
- みんなでんしゃ