出版社内容情報
史的唯物論の中心命題である,歴史をつくるものは誰かという問題について,多くの実例をあげつつ明快に論じたプレハーノフ(一八五六‐一九一八)の名著.歴史における個人の役割を過大評価したナロードニキの歴史観・哲学観に対する批判であり,ロシアにおけるマルクス主義思想の形成と発展に大きな役割を果した代表的論文の一つである.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
35
個人の性格が社会の発展の「要因」であるのは、社会関係がそうさせる場所、時間だけに、範囲だけにかぎられる。ヘーゲルはこういっている。《In allem Endlichen ist ein Element des Zufälingen》(あらゆる有限なものには、偶然的な要素がある、61頁)。偶然性は、現象を科学的に研究するのをいささかも妨げていない(62頁)。ひとたび、強力な軍事的支配者をもとめる社会の欲求がみたされると、社会組織は、その他のすべての有能な軍人が支配者にのぼるみちをふさいでしまった(69頁)。2018/05/23
金吾
14
「英雄は自らなるのではなく社会の情勢や要求に即してなる」ということを実例を示しながら論じています。結論から理論を構成する一例であり、面白く読めました。2021/11/22
Ex libris 毒餃子
4
短い論文のため、ささっと読めました。本文中に註が入っててなかなか読みづらかった。もっと革命的文体かと思ったが、抑え気味だったのは意外。2018/06/10
timothy
3
テーマや問題点は明瞭に整理されているのですが、哲学(学問としての哲学)的に厳密な議論はほとんどなく、寧ろ世論に対する説得性と行動喚起に重点が置かれています。ソヴィエトにおいて哲学が思想に置き換えられた事例としても大変興味深いものがありますね。
Akiro OUED
1
社会の声を聞き取れる個人は、歴史に名を残す働きをすることがある。トランプ再登板は、MAGA支持者の熱量によるものだ。人が歴史を作るのではなく、歴史が人を作る。この主張は、専制国家でも通用するのだろうか。プーチンが歴史を作るかどうか、じきに明らかになる。石破さん、化けるか?2025/02/07