出版社内容情報
紀元前431年に勃発したペロポネソス戦争は,27年の長きに亙ってギリシア全土を混乱の堝と化した.自らその渦中にあったトゥキュディデス(前460‐前400頃)は,動乱の全過程を克明に記録し,歴史を動かす大きな力の本体を混乱の背後に見きわめようとして本書の筆を執った.鋭い緊張のみなぎる雄渾な筆致で記述された大戦役の歴史である.
内容説明
自らの存亡をかけて激突するアテナイとスパルタ。この戦いは、相手を根絶やしにせずには止まない、相いれない二つの文化の争いであった。
目次
巻6(B.C.四一六冬‐四一四夏)(アテーナイ人、シケリア遠征を企画、その一(一‐六)
アテーナイとラケダイモーン、アルゴスに干渉(七)
アテーナイとラケダイモーン、マケドニアに干渉(七) ほか)
巻7(B.C.四一四夏‐四一三秋)(ギュリッポス、シュラクーサイに到着(一‐四)
ニーキアース、プレーンミュリオンに要塞を築く(四)
城壁争奪戦(五‐六) ほか)
巻8(B.C.四一三秋‐四一一秋)(シケリア戦局の諸影響(一‐六)
キオスの離叛(七‐一五)
テオースの離叛(一六) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
13
「戦史」三分冊最後の巻だがこの巻が一番面白い。アテーナイ、ラケダイモーン間に休戦がまとまるものの、アテーナイ側はシチリアへ遠征。アルキビアデスが勇んで遠征するものの、瀆神の容疑を掛けられて逃亡、遠征を押し止めようとしたニキアスは奮戦するもシチリア側に処刑。シチリア遠征の顛末を知ったラケダイモーン側はアテーナイ側と再戦、アテーナイ側は貴族派と民主派が対立してクーデターが起こり、アルキビアデスは帰国を目論んで暗躍し…、と戦争を巡るドロドロとした人々の動きが詳細に書かれている。未完に終わったのが惜しまれる。2018/12/25
シンドバッド
6
注と年表は、例えば別冊にして欲しい。内容は、大変面白く、筆舌に尽くせないだけに、注記の不自由さは、もっと尽くし難い。2013/06/26
てっき
5
上中巻に続き一気に読み終えた。ペロポネソス戦争自体は終結することなく、筆が終えられているのは残念だが、良い読書だった。読み物としても非常に面白い書きぶりであり、数千年経とうとも色褪せずに読めることに驚愕する。(訳も非常に良いのがあるのだろう) また、人類史、軍事・政治史の学術的面からも非常に参考になる点が多く、総じてきわめて面白かったといえる本であった。2023/06/18
Orange
3
有金全てをぶっこんだ大博打に負けたかのようなシケリア遠征でのアテーナイの敗北。優位にたつものの、あいかわらず勝機を活かしての速攻が下手なラケダイモーン。いかに速やかに戦争を終わらせることができるかというのも政治家や司令官の腕の見せどころかとも思うが、そういう人材には恵まれなかったらしい。おかげでアテーナイの降伏はまだ先になりそうなところでこの書は終わる。未完である。なんてこったい。この巻ではシケリア遠征の筆致の冴えが素晴らしく、ゆえに最後にどう結ぶのかまで書ききってほしかった。読みたかったなあ。2016/06/16
ピリカ・ラザンギ
3
アルキビアデースの暗躍。アテーナイがシケリアでの戦いを仕掛け、泥沼化する。P142 の地図を見るとなんとなく遠征が分かる感じ。ニーキアス及びアテーナイの敗走。敗走っぷりがやばい。壊滅を知ったアテーナイ市民の反応が面白い。 アルキビアデスとペルシャ王。アテーナイへの資金を提供させようとするが失敗。貴族政治と民主政治の対立の話が出てきたりする。 再びペロポネーソスとアテーナイの戦いが起こり終了。 中巻、下巻と演説の部分が面白い。2016/02/06
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