出版社内容情報
「素晴らしい悟りは一度徹底的に意識を無くすることが必要である.ここに提示された『無』の字こそ,まさに宗門に於いて最も大切な関門にほかならない」――中国宋代の僧無門慧開(一一八三―一二六〇)が編んだ公案集『無門関』は,「狗子仏性」を初関として全四八則,いわゆる「東洋的無」「絶対無」の原典として世界的に著名.付・現代語訳.
内容説明
「犬にも仏性がありますか」という問いに、趙州禅師は「無!」と答えた。ここに提示された「無」の字こそ宗門に於て最も大切な関門にほかならない―中国宋代の禅僧無門慧開(1183‐1260)が編んだ公案集『無門関』は、「趙州無字」を初関として全48則、いわゆる「東洋的無」「絶対無」の原典として世界的に著名。付・現代語訳。
目次
趙州狗子
百丈野狐
倶胝竪指
胡子無鬚
香厳上樹
世尊拈花
趙州洗鉢
奚仲造車
大通智勝
清税孤貧〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
43
いや、読むのが早すぎた。禅宗の名僧の問答をまとめられテキスト化された「公案」が、やがてマニュアル化され、そして禅自体が権威化、貴族化する中で、その不自由さを嫌い、本来の善の精神から離れていた中にカウンターとして著された本書。逢佛殺佛 逢祖殺祖。禅問答を掛けた師の顔面をぶん殴るのを善しとし、先師を真似、倣うを嘲笑う。本国では高く評価されず、ついでに持って帰った日本では逆に高評価。特に武士階級がハマったのは、刹那の迷いが死に直結する彼らのメンタルと、瞬間の頓知が合ったんだろう。2024/03/20
RED FOX
14
パイセンにあたる仏祖達のエピソードを宋時代の無門さんがメッタ切りにしてその理由を弟子に問う48問。解けると悟れるらしい。漢文、訓読文、現代語訳、と並んでいるので、いきなり漢文を読むのも脳トレみたいで面白い(読めんが)。洗鉢盂去、其僧有省。2018/11/28
roughfractus02
13
12-13世紀に生きた無門慧開が古人の公案48則をまとめた本書は、日本では江戸期に読まれるようになったという。問いと答えからなる本則、批評(評唱)、讃歌(頌)のシンプルな構成の中で命をかける戦いの修辞が多用され、問答の熾烈さと時折挟まれるユーモアが、読者の意識や自我の訳知り顔を言外から張り飛ばす。この戦いに勝利はない。もしあるなら勝者は勝ったという意識を放棄して悟りに達しているか、悟りの境地を掴んだという意識のさらなる放棄を迫られるからだ。分別する意識の罠に陥れば命はない。纔渉有無/喪身失命(第1則評唱)2023/05/04
記憶喪失した男
10
禅の公案集として最も有名なものである。48の公案がのっている。センター試験の漢文の出典になっていたりもする。人生三十六歳にしてやっと禅の公案集がどの本に書いてあるのか知った。2014/02/17
壱萬参仟縁
10
口語訳だけ拾い読みしてもいいと思う。評者はそうした。五祖法演和尚は「道を究めた人見れば、語るも黙るも間に合わぬ。顎をつかんで一撃すれば、分かる者ならすぐ分かる」(143ページ)。暗黙の了解か。「神のお面と鬼の面、失敗するほど面白い」(163ページ)。そうなのか。双方は真逆の存在だが、お面ならペルソナなのだから、化けているわけで、失敗とは化けているだけなのだから、真相は成功と裏返せばいえるのであろう。「他人の落度は言ってはならぬ、他人のことは知ってはならぬ」(170ページ)。人の悪口はしょっちゅう。自戒か。2012/12/27
-
- 和書
- 未定 創刊30周年記念号