出版社内容情報
数多い大乗仏典中「法華経」は特にその強い個性と庶民的性格によって,我が国仏教の歴史に大きな影響を及ぼし信仰の柱としてあがめられ,唱えられて来た.また,経中の美しい譬喩,巧みな説話の数々は文学・芸術の世界にも豊かなものをもたらした.本書では,漢訳・読み下しに原典の現代語訳を対置,味読の便を計っている.
内容説明
前章とともに最も重要な章とされる「如来寿量品」ではじまる。仏陀伽耶城の近くで成道した釈迦仏は、実は久遠の昔に成仏した本仏に外ならず、仏はすでに久遠の時より衆生教化をなし続けてきたのである。…そして、薬王、妙音、観音等、様々な菩薩が登場する。
目次
妙法蓮華経(如来寿量品第十六;分別功徳品第十七;随喜功徳品第十八;法師功徳品第十九 ほか)
正しい教えの白蓮(如来の寿命の長さ;福徳の区分;心から帰依することの福徳についての解説;教えを説く者の受ける恩恵 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔
8
長かった法華経も本書で終わり。基本的に概要を知りたい人は本書の解説で各品の説明が書かれているのでそちらで事足りるかもしれない。本書でも途中鳩摩羅什の訳がない部分があり、そこはサンスクリット→日本語訳だけになっている。最後まで読んでいて気になったのは読み下しと日本語訳のペースが合っていないことがほとんどなので、見開き毎にそれぞれ読んでいると違和感がすごいということ。当然読み下しと日本語訳の分量が異なるので仕方ないことではあるし、合わせていたらページ数がえらいことになるのは理解できるのだが…2022/07/22
CCC
6
お話として面白い部分がないわけでもないが、偉業と御利益をアッピールする事にばかり力が入っているように思えた。仏教は宗教ではなく哲学だという見方があるが、法華経は仏教の哲学的ではない部分を担っているのかもしれない。2017/02/28
マープル
6
梵文和訳部分とあとがきのみ読了。中巻の終わりで盛り上がった割にしりすぼみな印象。上中下全体を読み通した感想としては、「はー、法華経ってすごいんすね」といったところ。真意は理解できていない(爆)。なんせ、釈迦は永遠の昔から教えを説いてることになってるし、あれやこれやの奇跡のたぐいも満載。原始仏典から見ると、なんでこうなっちゃったんだろ?と思うことしきり。そりゃ上座部仏教の人から見たら、とんでもないわな、と。しかし、こうなる歴史的必然性もあったのだろうし、そのへんの勉強を今後の課題としたい。2016/09/22
aki
3
法華経で一番おもしろいのは従地涌出品から如来寿量品にかけて。下方から大挙出現した地涌の菩薩が、あまりに立派なのを見て、弥勒が釈迦に「どの仏が教化したんですか(まさか、あんたじゃないよね)」と尋ねる。「いや、オレが教化したんだ」「えっ、あんたが成道したのは40年前でしょ。そんなわずかな期間で、こんなに大勢の菩薩を教化できるはずないじゃん(そもそも、あんたより立派だろ)」「みんな、よく聞け。オレが成仏したのは40年前じゃなくて、無限の過去なんだ。以来、彼らを教化してきた」「えっ、ウソだろ。あんたは~」と続く。2014/02/08
アル
3
釈迦如来の「神格化」を完成させる「如来寿量品」にはじまる下巻。無数の世界が如来の力により一つにつながるという演出が興味深い。2011/06/12
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