出版社内容情報
数多い大乗仏典中「法華経」は特にその強い個性と庶民的性格によって,我が国仏教の歴史に大きな影響を及ぼし信仰の柱としてあがめられ,唱えられて来た.また,経中の美しい譬喩,巧みな説話の数々は文学・芸術の世界にも豊かなものをもたらした.本書では,漢訳・読み下しに原典の現代語訳を対置,味読の便を計っている.
内容説明
本書には漢訳の「化城喩品」から「従地涌出品」(サンスクリット原文の「前世の因縁」から「求法者たちの出現」)までが収められる。悪人デーヴァダッタやサーガラ竜王の娘の悟りを示して、有名な悪人成仏・女人成仏を述べる章もあり、一般の読者をも強くひきつける。
目次
妙法蓮華経(化城喩品第七;五百弟子受記品第八;授学・無学人記品第九;法師品第十;見宝塔品第十一;堤婆達多品第十二;勧持品第十三;安楽行品第十四;従地涌出品第十五)
正しい教えの白蓮(前世の因縁;五百人の僧に対する予言;アーナンダとラーフラの二人および二千人の僧に対する予言;教えを説く者;塔の出現;絶えざる努力;安楽な生活;法求者たちが大地の割れ目から出現した)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔
8
法華経全体に言えることだが、一度説明したことを詩頌として言い直すことが多いので、そこもう聞いたよ…みたいな感覚になりがち。まぁそれだけ大事な部分なのかもしれないが…仏教のエッセンスを詰め込んだ経典がこの法華経と言われているが、その説明のために比喩を用いていることが多いのは難しいことを難しく言ったところで衆生には理解出来んから、ということなのだろう。実際のところ各経典で主張されていることの比較とかみてみたい気もする。2022/07/18
ゆうきなかもと
8
提婆達多品のみ再読。 「文殊師利は千葉の蓮華の、大きさ車輪の如くなるに坐し」が、 千葉県の「千葉」の語源だと、個人的に思ってる。2019/05/24
マープル
6
梵文和訳部分のみ読了。訳者も指摘する通り、法華経を護持する教団が迫害を受ける記述があり、かつてそうした史実があったのでは、そして、法華経はそうしたいわば異端派による作なのではないかという疑問が頭をよぎる。それが、いまや経典中の一二を争うものになったわけだから、歴史とはわからないものだ。この中巻は大きなクエスチョンが出たところで幕を閉じる。下巻が楽しみだ。2016/08/27
CCC
5
幼女は悟りを開くとふたなり化出来るのか。うー、さして嬉しくないな……。むしろ幼女になりたい。悟りはバラすと小五ロリ!(煩悩全開)2017/02/28
aki
2
上巻は(妙法蓮華経の区分で)序品第一から授記品第六まで、中巻は化城喩品第七から従地涌出品第十五まで、下巻は如来寿量品第十六から普賢菩薩勧発品第二十八までを収録している。サンスクリット版の翻訳『正しい教えの白蓮』も併記され、比較しながら読むとおもしろい。もっとも、残念な点もいくつかあり、ひとつは法華経の開経(オープニング)である無量義経、結経(エピローグ)である観普賢菩薩行法経が収録されていないことだ。無量義経は、なかなか緊迫感がある経典で、法華経の真髄を(おぼろげではあるが)哲学的に示唆している。2014/02/08
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