出版社内容情報
戦国時代の中国,百家争鳴の世に現われて,孔子の教えを軸にしつつ,独自の思想を展開した孟軻の言行録である.彼は,人が天から与えられた本性は善であるという信念に立って,この天から万人に等しく与えられた本性を全面的に開花させるための実践倫理を示した.原文を短く区切って,読み下し文,口語訳,校注を付した.
内容説明
人間誰れにでも惻隠の心(あわれみの心)が備わっている。例えば、よちよち歩きの幼な子が今にも井戸に落ち込みそうなのを見かければ、誰れしも思わず知らずハッとしてかけつけ、助けようとする。―これは孟子がその性善説の論拠を示した公孫丑篇の一条だが、『孟子』の魅力の一つはこうした身近かで生き生きした例証にある。
目次
巻第七 離婁章句・上
巻第八 離婁章句・下
巻第九 万章章句・上
巻第十 万章章句・下
巻第十一 告子章句・上
巻第十二 告子章句・下
巻第十三 尽心章句・上
巻第十四 尽心章句・下
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
100
四書の一つ。儒教への鋭い批判をかわす問答が多く、こまごました観念的な議論に辟易しながら読んだ。上巻から感じていたこの違和感は、下巻の巻末の解説で納得。当初、孟子は教典の中に入ってなかったのだが、唐の時代に文章の巧妙と異端排斥の意気を称揚して、孟子がもてはやされるようになった。その後、宗の時代に科挙の試験に取り込まれ、朱子による集註が書かれ、広く読まれることになった。個人的には、舜帝が天下を捨てて父・瞽叟をかばう話、曾皙の好きだったナツメを見るに忍びない曾子など、父子の間の「孝」に関する記述が印象に残った。2016/05/07
Y2K☮
33
仁=ジン=人。誰もが本来持っている善の心。それを発揮して人らしく生きる。欲に囚われず結果は天に委ねる。井上雄彦「バガボンド」で感銘を受けた「お前の生きる道は天によって完璧に決まっていて、それが故に、完全に自由だ」を連想。だが人には生来悪も備わっている。孟子も分かっていたはず。私はこの世の全てが半信半疑でいいと考える。処世術として。けど真実はそうだと頭では確信していながら心では無防備に、姑息な保険を掛けずに人の清らかさを信じられる。それが君子の証。程遠い。でも私の天命は本と共にある。また逢える。マイウェイ。2018/05/24
ロビン
15
「責任感は信心の異名である」と師匠はいわれた。本書に登場する伊尹という仁者は、天下の人民の中にその人がどんなに賤しい人であっても、尭舜時代のような恩恵に浴さないものがあれば、まるで自分がその人を溝の中へでも突き落として苦しめているかのように責任を感じた、伊尹は天下という重任を自分一人で引き受けて背負って立ったのだ、とある。自分こそが責任者であるとの自覚を、誰に強要されたわけでもなく自然に持てる者は、人物である。親孝行もいわば子としての責任感であろう。多くのものは責任を厭うが、自ら担って立つ気概を忘れまい。2025/02/07
双海(ふたみ)
12
上巻に引き続き下巻も適当にページを開いて書き下し文を音読して楽しみました。2014/07/27
roughfractus02
9
概論的な上巻7巻に比べ、本巻に収められる8巻は各階層への言及が多く、論争も激しさを増してくる。政治における、教育における人間関係を能動/受動と捉え(例えば教える/教えられる)、その円滑な維持と発展を受け皿としての仁なる「家」とその発展する方向としての義なる「道」に喩えて、確固とした意志を持つ人間(大丈夫)へと個人が努力することで成し遂げられると説く。近代中国では本書は『論語』と共に焚書になったという。セキュリティ管理の前提として性悪説を採る国家には、性善説は脅威なのだ(我々も性悪説の管理下に生きている)。2025/10/24
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