出版社内容情報
太平洋戦争下,豊かな国際感覚と幅広い交友をもとに,当時の政治・経済状況や身辺の生活をいきいきと記した希有な記録(原題「戦争日記」).外交評論家・清沢洌(一八九〇―一九四五)は,将来日本現代史を書くための備忘録として,この日記を書きつづけたが,その鋭い時局批判はリベラリズムの一つの頂点を示している.人名・事項索引を付す.
内容説明
太平洋戦争下、豊かな国際感覚と幅広い交友をもとに、当時の政治・経済状況や身辺の生活をいきいきと記した希有の記録(原題「戦争日記」)。外交評論家・清沢洌(1890‐1945)は、将来日本現代史を書くための備忘録として、この日記を書きつづけたが、その鋭い時局批判はリベラリズムの一つの頂点を示している。人名・事項索引を付す。
目次
一九四二(昭和十七)年
一九四三(昭和十八)年
一九四四(昭和十九)年
一九四五(昭和二十)年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
22
新しい時代には言論自由の確保 ということが、政治の基調となら なくてはならぬ (1943年4月24日、29頁)。 日本人の美徳は あきらめ(傍点9 にある。偉大な国民にあらず (同年7月25日、67頁)。 島崎藤村氏死去の旨のラジオ放送 あり。予はこの人には、種々世話に なり、また書いた物ももらっている (同年、8月22日、82頁)。 葬儀には参列せず(83頁)。 日本人のモラールの低下したことは 驚くの他はない。こんな国民が 指導など断じてできるものにあらず (同年11月1日、105頁)。 2014/06/05
双海(ふたみ)
20
「政府関係者と会談の機会の多いものは、非常に楽観的だ。考える機会がないからでもあろう。活動家の周囲には思想家の顧問が要る1つの例だ」:政府周辺では本気で議論をする者がいないという。 「頭山満を『朝日』(新聞)はかつぎ、徳富蘇峰を『毎日』(新聞)がかつぐ」:戦前の新聞は(今もそうか)イケイケどんどんなのです・・・。2016/12/03
ikedama99
18
寝床で読む本。あの太平洋戦争のさなかに、このようなリベラルな文章が残っていることに驚く。 若いときに渡米をし、そこでの生活体験を踏まえたうえでのの日本の姿への意見などは、読んでいて説得力がある。よく、当時の特高警察などで検挙されなかったと思う。 また、当時のマスコミ(新聞が中心)が、戦争推進の役割を果たしていたことを、日記のいくつかの場所で感じ取れた。単に検閲とかではなくて、国と国民がそのことにどう向かっていたのかがわかる資料でもあると思う。この人についてより知りたいと思った。2022/02/23
Endo Takafumi
15
ハンター×ハンターとは関係ありませんよ~。戦時中の日本がいかに狂っていたか、普通の人は狂った方に成ってしまいますが、聡明な著者は狂っていることに気づいている側です。彼の様な人びとには当時の日本は暗黒そのものだったに違いありません。2016/09/17
勝浩1958
14
いつの時代でも、その時の政府に阿るマスメディアや評論家諸氏は存在するものであります。この日記に掲載された当時の新聞の教条的かつ精神主義一点張りの内容の酷さに唖然とします。中身は全くありません。市井のひとたちは新聞の報道や時局に媚びた講演者の話を信用していたのでしょうか。清沢氏は東条英機内閣を非難しています。人々の無知を嘆いています。徳富蘇峰は「一億英雄たれ」と新聞に書き、日本敗戦直後の東久邇稔彦内閣は「一億総懺悔」で天皇に謝罪し、安倍内閣は「一億総活躍」社会を推し進める。日本は全体主義国家か?2015/10/27