出版社内容情報
普通の人間にとって実践可能な人生の真の生き方とは何か.我々は後世に何を遺してゆけるのか.明治二十七年の夏期学校における講演『後世への最大遺物』は,人生最大のこの根本問題について熱っぽく語りかける,「何人にも遺し得る最大遺物――それは高尚なる生涯である」と.『デンマルク国の話』を併収. (解説 鈴木俊郎)
内容説明
普通の人間にとって実践可能な人生の真の生き方とは何か。我々は後世に何を遺してゆけるのか。明治27年夏期学校における講演「後世への最大遺物」は、人生最大のこの根本問題について熱っぽく語りかける。
目次
後世への最大遺物
デンマルク国の話
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
136
後世への遺物、それは”勇ましい高尚なる生涯”、そしてその”生涯”というのは、”失望の世の中ではなく、希望の世の中であることを信じ実行すること”であり、その”生涯”を世の中のへの贈り物としてこの世を去る、とのこと。圧巻です。2014/02/07
優希
106
内村鑑三の講演を文章に起こしたものになります。薄い本ですが、内容は濃く、その話には芯の強さを感じました。私たちは後に続く世代に何を残していけるかを考えたときに、金や富以上に大きなものがあることに気づかされました。いかに自分が生きたかという証こそが何事にも代えがたい遺産ではないかと。また、『デンマルク国の話』も興味深いものがありました。2017/07/07
5 よういち
102
「後世への最大遺物」「デンマルク国の話」の2編を収録。 「後世への最大遺物」では人間は遺産としてお金、事業、教育、思想等を残せるが、それを残すことができない人は「勇ましい高尚なる生涯」を残すことができ、それが「最大の遺物」であると主張。要は生き方を遺せと。 「デンマルク国の話」は、ドイツやオーストリアとの戦争で負け、僅かな国土しか残らなかったデンマークがダルガスの努力により、豊かな国となったという物語だ。 この2編に通じるのは、どんな境遇であってもキチンと生きよ。そう言っているように思う。 2019/04/30
ひろき@巨人の肩
88
Audiobook。「代表的日本人」著者、キリスト教思想家・内村鑑三による二つの講演。①後世への最大遺物。最高から最大への転換が面白い。最高遺物は金→事業→思想の順列。ただこれらは万人が残せるものでない。しかし「高尚な生涯」は皆残せる、よって最大遺物だと説く。SMAP「世界で一つだけの花」を思い出した。②デンマルク国の話。エンリコ・ダグラスによるユトロンド半島土地開発。「外に失いしものを内に取り戻さん」というデンマーク人精神。樅の植林と間引きによる山林の再生。天然の無限的生産力とは再生エネルギーの走り。2019/07/06
molysk
80
われわれがこの愛する地球を去ろうというときに、何を置いて逝こうか。いかに金を稼いで前途ある人々に渡すことができるか。いかに金を用いて有為な事業を残すことができるか。いかに自らの思想を文学あるいは教育として後進に伝えることができるか。しかし、こういったことは才に恵まれなければ難しいのである。誰にでも遺すことができるもの。それは勇ましい高尚なる生涯である。あの人が生きている間は真面目なる生涯を送った人といわれるだけのことを、後世の人に遺したい。内村は聴衆に熱っぽく語りかけたのち、講演をこのように締めくくった。2023/08/20