出版社内容情報
大日本帝国憲法および皇室典範の逐条説明書.旧版を組みなおし,解説を新たに付す.(解説=坂本一登)
内容説明
大日本帝国憲法および皇室典範の注釈書。両草案を枢密院で審議する際に、参考資料として出されたものが原型である。法制局長官・井上毅が原案を執筆し、伊藤博文の名前で1889年に公刊された。明治政府の準公式的な憲法解説書であり、近代日本の憲政史を理解する上で欠かせない重要資料である。
目次
憲法義解(大日本帝国憲法義解;皇室典範義解)
附録(皇室典範および帝国憲法制定に関する御告文;憲法発布勅語;帝国憲法上諭;皇室典範上諭;皇室典範増補(明治四〇年)
皇室典範増補(大正七年))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
100
この本を以前から読みたいと思っていたところに、岩波文庫から再刊されたので読んでみました。伊藤博文が大日本帝国憲法と皇室典範についての解説を行ったもの、ということでわかりやすくなっています。実際には法制局長官の井上毅が書いたものらしいのですが参考になります。2019/07/23
猫丸
16
「不磨の大典」として宣布された明治憲法の逐条説明書。伊藤の名はあるが、一個人の評釈ではなく憲法起草チームの議論を総括したもの。「ぎげ」と読まずに「ぎかい」と読むのが普通であるという(宮崎氏解題による)。天皇を元首とする国家建設の方針そのものは起草メンバーの共有するところであったが、議会によって権力に一定の歯止めをかけようとする井上毅と、円滑な国家運営のため行政の裁量を極大化しようとするロエスレル、伊東巳代治の間には激しい綱引きがあった。井上が下書きし、これを伊東サイドに中和してまとめたのが「義解」である。2020/06/02
まさにい
15
まず、歴史で習った令義解(りょうのぎげ)のイメージがこの本を読んで分かった。このイメージが分かったことは副産物。この本を読んだ理由は、伊藤博文の憲法感覚が現在の憲法の内容と似ているので、どうしてそのような感覚を身に付けたのかを知りたかったから。なるほど、井上毅のおかげだったのですね。井上毅と伊東巳代治の論争も面白い。ここで、井上の主張が通っていれば、司馬さんが鬼胎の時代の原因とする統帥権の解釈も生じなかったのかもしれない。井上の憲法の理解は、現在の立憲主義に近い。それにしても、井上毅の創造力には敬服する。2020/03/28
にゃん吉
7
明治憲法及び皇室典範の注釈書。各国の憲法との比較といった西洋法的な註釈もあり、他方で、記紀等の古典が多く引かれていたりして興味深い。読み終えて、明治から敗戦までの時代を知るには、統治原理である憲法を知ることが重要な気がしました。明治憲法には、学校の教科書レベルでも指摘されるとおりの問題点は多々あり、西洋の真似ごととの誹りも免れないかもしれませんが、西洋法の伝統が何らない中で、黒船来航から五十年もたたずに、憲法が誕生し、注釈書が編まれているのは、それはそれですごいことではないかという感慨も覚えました。 2022/01/30
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
6
登録忘れ本。大学時代の教授が「皇室典範を議論するのにこれすら読んでいないなんて何事だ」とブログに書いた直後に購入、読了。しかし内容が難しすぎて読んだだけだった。現代語訳があるようなのでいずれ読もう。明治二十二年著。平安時代に公的な『令集解(りょうのしゅうげ)』と私的な『令義解(りょうのぎげ)』という「令(憲法や行政法)」の注釈書が編纂され、それを意識したであろう題名で読みは「けんぽうぎげ」。要するに大日本帝国憲法の注釈書。旧皇室典範についても言及がある。なお旧字旧仮名でフォントも戦前の小さくて古いアレ。