出版社内容情報
植木枝盛(1857‐1892)は,明治初年,つとに日本国憲法体制の青写真ともいうべき政治・社会改革の構想を提示し,板垣退助とともに活躍した自由民権運動の闘士,論客であり,日本の民主主義の伝統を考えるとき無視できない存在である.主著「民権自由論」,憲法草案,世界連合政府論,民法論,婦人論など主要な論稿,「植木枝盛自叙伝」を収録.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
13
新字体。「民権田舎歌」(42頁~)なんていう、おもしろい歌がある。これは、ぜひ、作曲家の方にメロディを付けてもらって、CD化して売り出すと面白いと思うけどなぁ。「自由じゃ自由じゃ人間は自由」。エンタの神様に出ていた、犬井ヒロシ氏を想起した。「貧民論」(115頁~)。植木氏はのんべんだらりというか、飲兵衛か(119頁)。著者は、同権ということを、最大最多の幸福の条件にしているようだ(122頁)。ベンサムに影響されたのだろうか? 貧民とは、不幸にも社会の有様に由ってその地位に廻り合わしたる者(125頁)だと。2014/02/09
AR読書記録
3
「それ政府は単に良政府なし、人民ただこれを良政府とならしむるのみ」。いきなりぐさりときたなぁ。“万国共議政府”に“宇内無上憲法”、まだまだ日本という国自体ようやくよちよち歩き出したばかりのような時代に、なんと壮大な視点をもってきていること。「男女の同権」は、同権反対の論を挙げてはひとつひとつ論駁していく形式なんだけれども、まあその反対論の言いがかり感が強く、かつ既視感の強いこと。今も、っていうか、ネット時代になって、こういう詭弁を目にする機会も増えたもんなぁ。“正論”は流通すれども実現せぬのが世の中。2015/06/02
denz
2
「世に良政府なる者なきの説」「民権自由論」「無上政法論」「東洋大日本国国憲按」「貧民論」「男女の同権」「如何なる民法を制定す可き耶」「植木枝盛自叙伝」、評伝・回想として、『土佐偉人伝』と横山又吉の談話、そして家永三郎の解説が収録されている。植木の思想は、基本的には福澤諭吉、加藤弘之らの明治啓蒙と翻訳文献を換骨奪胎して自身の主張に引用したというかたちである。横山によると、晩年(三十五歳で死去)は「発狂」していたという。晩年に書かれた自身を客観視した自叙伝を読むとそんな気もしないでもない。2012/02/12
浅井秀和 「不正規」労働者
0
皇室に対してはなにもいわなかった。官吏には大いに言った。悪い政府は転覆せねばならぬと言った。(植木枝盛選集の巻末にある植木枝盛の評伝より)。 この一文に植木枝盛の政治思想の本質があると私は見た。 植木枝盛の民権論は儒教的な要素とルソーが結合した政治思想ではないか。 ちなみに植木枝盛の貧民論と男女の同権を論ず、は植木が士族で、男であることを考慮すれば大胆な論文である。 植木枝盛が日本にいてくれてよかった。彼がいなければ日本国憲法など生まれやしなかったはずだ。 2015/05/24