出版社内容情報
優秀な頭脳,繊細な神経,鋭敏な正義感の所有者で,真理の友と称せられる主人公ボルクが,凡庸な先輩や同僚,無知な人びとから極度の無理解と迫害を蒙って,ついにバルト海の波間にその不滅の情熱の墓場を求めるにいたる.ストリンドベリが「私はここに偉大なるルネサンス式の傑作を送る」と自負する作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すむるとろん
1
ストリンドバリの小説初体験。漢字の知識が足りず、旧仮名遣いそのものにやや苦戦した。特に前半部は、ボルク(原音ではボリ)の研究内容(魚やら岩石やら)に関わる専門用語や、彼の思想的背景を形成する抽象概念に、いちいちカタカナのフリガナがふってあり、訳者も書いているように内容も単調で大変読みにくい。しかも重訳のためそれら全てドイツ語…不必要にいかつい印象を与えてしまう。ただ、ある時点を通過するとお馴染みの感情の渦にぐんぐん引き込まれた。ラストが哀れ。しかし、実体験をこういう形で作品として昇華させる根性は凄まじい。2013/03/31