出版社内容情報
アンデルセン(一八〇五―七五)の童話は,決して口あたりよい砂糖菓子のようなものではない.「私が書いたものはほとんどが私自身の映像である」と『自伝』のなかで述べられているように,どんな空想的な話のなかにも,作者の生きた波瀾の人生の一片が封じこめられていて,おとなであれ子どもであれ,読む者の心を強くゆさぶる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッキー
11
「子豚の貯金箱」がトイストーリーみたいで面白くてユニークだった。 おもちゃや道具などがひとりでに動き出してみんなで会話するシーン、これも童話ならではだなぁと思う。2015/09/27
Tomoko.H
7
「柳の木の下で」「イブと小さいクリスティーネ」とても悲しいけれど美しく印象的。別の巻の「人魚姫」なんかも、昔は嫌いだったけどこういうのの良さがわかってきた。悲しみや不幸を受け入れる人たちの描写にはキリスト教がベースになっているよう だけど、キリスト教でも何でもない私にも説得力を持って感じられる。昔話だと思ってるからかな。2015/03/25
paumi
2
たかがおとぎ話、と侮ってはいけない。現代の私達にも心にしみるお話ばかりだ。作者のアンデルセンは敬虔なクリスチャンだった。そんな彼がまじまじと描いた人間や世の中の本質。ハッピーエンドばかりでなく、バッドエンドや、だれが幸せなのかわからないような終わり方もいくつもあって、考えさせられる。まじめにやっているつもりの私でも、これを読んでいると、やっぱり自分の日頃の行いを振り返らずにはいられなくなる。もしかしておごっているのではないか?とか、ちゃんと大事なことは見えているのか?とか。2015/05/27
らくだ
2
この巻には「人魚姫」や「ナイチンゲール」のような華やかな王様やお姫様の話が少なく、現実の厳しさを著した話が多かった。芸術と生活を天秤にかける話も多い。けれど面白くないかと言えばそうでもなく、記憶に残る話ばかり。ホラーじみた「影法師」、魔法みたいな「古い家」、SFっぽい「水のしずく」、母の愛「ある母親の物語」、四季を擬人化した「年の話」、芸術と生活「食料品屋の小人の妖精」、悲壮な片思い「柳の木の下で」、もう一つの母の愛「『あの女はろくでなし』」など。2013/07/08
茅野
1
今巻は有名な作品は殆ど無し。スレースヴィ=ホルステン戦争の話が出てきたのは驚いた。童話でも政治というか具体的な戦争の名前とか出てくるんだ。2023/10/27