内容説明
三十以上の言語に翻訳されている、世界的名作。現代カタルーニャ文学の至宝と言われる。スペイン内戦の混乱に翻弄されるひとりの女性の愛のゆくえを、散文詩のような美しい文体で綴る。「『ダイヤモンド広場』は、私の意見では、内戦後にスペインで出版された最も美しい小説である」(G.ガルシア=マルケス)。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
86
読むほどに苦しくなるのにすごく好きだ。水銀のような気性のキメットとダイヤモンド広場で出会い、幸せな結婚をしたはずのナタリアの心から次第に色彩が消えていく。目に映っている街は鮮やかなのに。自由奔放なキメットに腹が立つ。それを受け入れるクルメタ(ナタリア)にも悲しくて腹が立つ。キメットが共和国側の民兵として戦線に赴いてからの貧しさは更に悲惨で、心身共に追い詰められ子供を連れて死を選ぼうとする姿はただただ辛い。スペイン内戦が背景として描かれてもいるが、これは1人の女性の人生の物語だ。ふいに差し伸べられた手に →2021/01/21
藤月はな(灯れ松明の火)
77
人生の全てはダイアモンド広場で始まった。ダイヤモンド広場でキメットに出会ったクルメタ(ナタリア)に待ち受けていたのは一筋縄ではいかない結婚生活、そしてスペイン内戦。大仰で見通しが甘いキメットとの結婚生活は読んでいると余りにも息苦しくて不快感に襲われた。特に初期に頻発する「かわいそうなマリア」という口癖には「何様のつもり?」とイライラした。しかし、ナタリアが全てを失ってから光がやっと差した気がした。彼女の側にアントニがいて本当に良かった。そして罪悪感や義務から解き放たれた彼女が始まりの場所に戻れた場面が素敵2019/11/14
あさうみ
46
素晴らしい。美しい恋愛小説を読んだのは久しぶりな気がする。ほろ苦く煌びやかな青春、動乱の辛苦に内戦の傷、子供と心中を決意するも、悲しく尊い優しさと愛に救われる。淡々と書かれセピア色のような世界にところどころ綺麗な彩が映る物語。ガルシア=マルケス絶賛も納得。読んで良かった!2019/11/14
いの
30
「ダイヤモンド広場」というきらびやかなタイトルに魅力を感じました。歴史の知識に乏しい私は海外カタルーニャ語で書かれた小説がどれほどの重みがあるのか知りませんでした。自分たちの言葉にスペイン内戦により厳しい制限をかけられていたのです。この小説はひとりの女性の語りで物事はすすみます。境遇や環境が違っていても何故だか懐かしくそれはきっと回想をする女性を共感したい…できる自分がいるからなのでしょうか。どれだけ年齢を重ねても変わらない光と影が交差した時間。気がつけば涙が頬を濡らしていました。2020/03/30
かもめ通信
28
舞台は最初から最後までバルセロナのグラシア街。母親に早くに死なれた若い女性が、押しの強い男性に見初められて結婚し、出産し、あれこれありながらも家庭を築いていくのだが、やがてスペインの内戦による混乱が、彼女の人生を翻弄することに。一人称の物語はどういう語り口を選ぶのかによって随分印象が変わってくるものだけれど、今回のこの翻訳は思い切った口語体。まるで鳩の鳴き声を思わせるようなリズムカルな語り口が物語を引き立てる。いつの日かバルセロナを訪れて、グエル公園のてっぺんからナタリアの暮らした街を見下ろしてみたい。2019/11/30
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