出版社内容情報
騎士道物語を読み過ぎて妄想にとらわれた初老の紳士が,古ぼけた甲冑に身を固め,やせ馬ロシナンテにまたがって旅に出る.登場する誰も彼もがとめどもなく饒舌な,おなじみセルバンテスの代表作.新訳.(全6冊)
内容説明
騎士道本を読み過ぎて妄想にとらわれ、古ぼけた甲胄に身を固め、やせ馬ロシナンテに跨って旅に出る。その時代錯誤と肉体的脆弱さで、行く先々で嘲笑の的となるが…。登場する誰も彼もがとめどもなく饒舌な、セルバンテスの代表作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
459
もはや過去の彼方のものとなった騎士道物語に読み耽り、いざ自らも遍歴の騎士たるべく故郷を後にしたキホーテ。やることなすこと、滑稽というよりは、むしろなんだか哀しく、せつない。いみじくもサンチョ・パンサの名付けた「憂い顔の騎士」は、見事なくらいにその本質を言い当てているようだ。また、この巻では、騎士道物語の書肆学とでもいうほどに、セルバンテスはその方面の知識を盛大に披瀝するが、まさにそれらはグーテンベルクの考案した活版印刷術の賜物でもあった。全6巻に及ぶ壮大なこの物語。さて、この行末やいかに。2016/04/22
ケイ
134
あらすじは知っているものの、きちんと読んだことのなかったドンキホーテ。この度、腰を据えて読むことにする。主従の旅はガルガンチュア物語を思わせるが、こちらは従者が極めてまとも。正常な精神とはとても言えないドン・キホーテに、辛抱強く従うサンチョ。悪くない人を傷つけることがあっても、すべて妄想の中では正当化される。とにかく、サンチョあってのドン・キホーテの旅だ。アルダルシアには三回も旅行したので、彼らの旅の地図を見るのもまた楽しい。2015/07/14
やいっち
124
予想外に面白い。訳もいい。騎士物語の読みすぎで吾こそは救世の騎士と思い込んでしまった挙げ句の狂気 という設定。本を読む。物語に没頭する。リアルな日常とは全く位相の違う世界が脳裏に渦巻き展開し、ついには虚構の世界がリアルを圧倒する。仮に狂気に至らなくとも人は(それを思い込み 偏見 色眼鏡……)何らかの思い入れ 思惑なしに生活することはできない。いや、物語を虚構して、いまここに居るのは仮の姿であり、本当は大金持ち 凄いタレントの持ち主 こんなぞんざいな扱いをされる謂れのない 格別な存在なのだ。2021/06/07
ハイク
123
以前にアンダルシア地方を訪ねた。小高い山に風車が数多く立っていた。近くのドライブインにはドン・キホーテが飾ってあった。この地方で生まれた途方もない冒険の物語である。騎士道に憧れたドン・キホーテがサンチョ・パンサを伴い各地を冒険する旅だ。時代認識のずれた主人公の奇妙な冒険の旅は面白い。第1巻では旅をする動機が語られ、騎士道に関するを読み過ぎ一種狂信的といえる騎士に憧れた。サンチョを供に連れ珍道中に出かけた。映画「フーテンの寅」こと車寅次郎のズッコケぶりと重なる。こういうキャラは憎めなく愛される男なのだ。 2017/02/19
扉のこちら側
104
初読。2015年1142冊め。【78-1/G1000】本の読みすぎで騎士道物語と現実の区別がつかなくなった男の冒険譚。子どもの頃に抄訳か絵本かで読んだ記憶はあるが、こうして新訳で読むとおもしろさに引き込まれる。バレエも好きだけど、部隊の場面の裏側にはこんな奥深いエピソードがあったのか。有名な風車の話は、ドン・キホーテ(スペインの象徴)が風車(オランダの象徴)に負ける(オランダ独立を暗示)という説も。【第2回G1000チャレンジ】2015/11/21
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