出版社内容情報
年老いた夫の最期をみとったロザーウラは,もっと自分にふさわしい男と再婚して失われた時を取戻したいと願っていた.舞踏会で,イギリス,フランス,スペイン,イタリアの男に求婚された彼女は,誰が自分にふさわしいかを探るため一計を案じる.……ヴェネチアの劇作家ゴルドーニ(一七〇七―九三)が国民性を比較した喜劇(一七四八年初演).
内容説明
年老いた夫の最期をみとったロザーウラは、もっと自分にふさわしい男と再婚して失われた時を取り戻したいと願っていた。舞踏会でイギリス、フランス、スペイン、イタリアの男に次々に求婚された彼女は、誰が自分にふさわしいかをさぐるため一計を案じる。…18世紀ヴェネチアの劇作家ゴルドーニ(1707‐93)の国民性を比較した喜劇。1748年初演。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
112
ゴルドーニは、ボーマルシェやダ・ポンテに先行するヴェネツィアの喜劇作者。ゲーテもイタリア旅行の折にヴェネツィアでの舞台を観劇しているようだ。劇のプロット自体はいたって単純で、裕福な未亡人の婿選びなのだが、随所にヴェネツィアならでは、といった要素が見られる。お相手の候補者は、イギリス人、フランス人、スペイン人、イタリア人(フランス人以外は貴族階級)なのだが、彼らが一堂に集うあたりは、いかにも国際都市ヴェネツィアの面目躍如。当然、カーニヴァルの仮面も要所で用いられている。戯曲よりは、見て楽しむお芝居だろう。 2014/03/19
きりぱい
7
ヴェネチアで繰り広げられる求婚劇。若き未亡人ロザーウラに言い寄るのは、イタリア、イギリス、スペイン、フランスの四人の男たち。それぞれデフォルメされたお国柄が面白くて、かえって誰も選びたくなくなるのだけど、再婚すべくふさわしい一人を決めるためロザーウラはある奇策に出る。射止めたのは誰なのか、ほらね、と言わんばかりの小間使いの言い草が乙。宿の召使いの存在が滑稽。2011/08/16
ひつじ
6
女性が活発に描かれていて、どの女性キャラもなかなか主体的に行動するし意見もいうので、なんかいいなぁと思ってしまう何かがあった。婿選びの話でもあり、竹取物語の婿選びのシーンに似ているようで似ていない構成ではある。伯爵可愛いかった。外国人が出てくる国際色豊かな作品であり、そのキャラたちのお国柄をテンプレ的に表現してしまうという、ある種の偏見的な問題が解説にも取り上げられている。この辺は解説がちょっと面白かったかな。そして不思議な時代に書かれた不思議な作品だったのだなぁと知れる。不思議な近代を味わえた。2021/02/22
無能なガラス屋
5
スペイン人のキャラが完全にドン・◯ホーテで笑った。さしずめアルレッキーノは少し賢くなったサンチョといったところか。2020/09/23
belier
4
「抜目のない」という題名で違う内容を想像してしまった。性格の悪い大金持ちの商人から抜目なく金を掠め取る痛快な未亡人みたいな。そうではなく、聡明な未亡人が再婚相手を冷静に定める喜劇だ。婚約希望者の生国がそれぞれ違い、その性格の違いを面白おかしく際立たせる。結局はイタリアのお国自慢でもある。「珈琲店・恋人たち」のほうが人物像が繊細で深みもあると思うが十分に楽しめた。ゴルドーニはこの時代の人としてはフェミニストで女性への敬意を感じる。「珈琲店」のリドールフォを例外として、男より女性の登場人物のほうが賢い。2017/04/29