出版社内容情報
19世紀後半において,トルストイをも凌いだといわれるレスコーフは屈指の多作家で,ロシア民族のリズミカルな俗語や方言を縦横に駆使し,心憎いまでに話術の妙をきわめたその諸作品は,われわれがロシアの素顔を知る上に見逃すことのできないものである.代表作「真珠の首飾り」の他に短篇2篇を付す.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
豆ぽち
19
『心は仮の宿りならず。心というものは、そんな手狭なもんじゃありません。お父さんへの愛も愛なら、夫に対する愛も愛です。もし幸福な夫になりたければ、自分の妻を尊敬できるようでなくちゃなりません。それができるためには、妻の心から、生みの親に対する愛や敬意を無くさせてはならないと思います。』2017/01/31
syaori
5
短編集です。表題作が好きでした。結婚したいとやってきた話者の弟が選んだ相手は気立てもよく可愛らしい娘さん。しかし父親がしまりやで、話者は持参金はあてにできまいと反対しますが、娘の父親はお祝いに豪華な真珠の首飾りを贈ってくれて二人は結婚します。結婚式の翌日、義父からの手紙であの首飾りは偽物だと判明するのですが…。短い話なので大体の筋は想像できるのですが、それでも読ませてしまうのは作者の腕でしょう。ほかの2編もよかったです。「マクベス夫人」は、そうか、やはり女の嫉妬は女に向かうのかという感じになりました。2015/11/09
コカブ
3
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」「真珠の首飾り」「かもじの美術家」を収録。あまり期待していなかったが、物語展開が面白かった。こういうロシア文学もあるのだ。「…マクベス夫人」は、資産家の妻と愛人の話。ロシア文学は妻と愛人の話が多い気がする。毛色が変わって、「真珠の首飾り」はクリスマスの心暖まるお話。こういう語り聞かせる感じの話は、ロシア文学ではあまり見た事がなかった。「かもじの美術家」は、語り手の乳母の若かりし頃の恋愛譚。乳母は同じ屋敷に奉公していた髪結いと相思相愛になるが、冷徹な主人が壁となっていた。2013/02/20
relaxopenenjoy
2
日本ではあまり知られていないレスコーフ。本国では、トルストイやドストエフスキー、ツルゲーネフ以上の人気といっても過言でないくらいの作家とのこと。マクベス夫人は中編、真珠の首飾りは短編だが、どちらも会話文が活きいきしていて楽しく読めました(漢字が旧字体で所々読めなかったですが…)他のレスコーフも読んでみたいです。2020/02/05
Nanami
2
1951年初版のロシア文学。短編集でした。表題作はクリスマスの物語。語り口調で綴られるのは少しあったまるお話。残り二編ですと「ムツェンスク郡のマクベス夫人」の方が好き。毒を喰らわば皿まで。愛人のために旦那とその舅を殺害し、さらには遺産相続のために子供まで。二人して捕まり、一緒に牢屋に入れられるけど、でも結局は浮気されて捨てられちゃう。そして--。2013/02/22
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