出版社内容情報
午前五時,ラーゲリ(収容所)ではいつものように起床の鐘がなった.また長い一日がはじまるのだ.――身をもって体験したスターリン時代のラーゲリを舞台に作者は異常な状況下で人々が露わにする多様な性格と行動を描き,人間性の圧殺者を正視し告発する.強靭なヒューマニズムの精神と高度の芸術的技量に裏うちされた作品.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hirouch
6
他人を基準に自らの生活を評価することはしないに越したことはないですが、そうは言ってもついやってしまうものです。あまりに忙しい今の仕事から精神的にだけでも逃げ出したいと、自分より過酷な生活をしている本を読んでみようと手に取りました。時代も場所も全く違いますが、ソ連の収容所であれば間違いないはずでした。結果として自分の現実から逃避するという意味では完璧な小説でした。けれど上述した意図においてではなくです。そう、純粋に小説を楽しむことで忙しい生活を忘れることができたのです。愛すべき登場人物の面々に感謝します。 2016/05/05
juunty
3
作者のソルジェニーツィンが自分の収容所体験をもとに書いた作品。極寒の収容所の生活がリアルに表現される。囚人が困難な環境に置かれるのは当然としても、その囚人を管理する兵士ですら極寒の環境に苦しめられる。新潮文庫版よりも訳が若干古めかしいが、こちらのほうが年代が近い気がする。より砕けだ表現も多かった。2021/11/29
RetuTanaka
2
こういう生き方はよい。2021/07/07
綾野理瀬(Ayano Lise)
2
ソルジェニーツィンの出世作。淡々とラーゲリの一日を、平凡な囚人を中心に描く。だが、周りの囚人たちは、よくも悪くも癖がある(そこが面白い)。食事の場面が丁寧で、いかにラーゲリで食事が貴重な時間だったかわかる。好きな人物はю(ユー)81番。
天下つむじ大将軍
2
小説としても面白いが、ソ連史の資料として位置付けてこそ真に面白い作品です。2014/05/04