出版社内容情報
若くして生の悲痛に傷ついたチェーホフの内奥に,サハリン旅行が与えた影響の大きさはたとえようもない.本集はこの旅のもたらした芸術的土産を中心に彼の開眼期の諸相を窺い,チェーホフ鑑賞の途にささやかな礎石を置こうとしたもの.「シベリヤの旅」は途次の風物人情を率直な印象の筆にのせて近代文化への鋭い批判の声をほとばしらせる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
21
解題によると、 チェーホフは絶えず土地や人的環境や 風物の新鮮さを好んだ(177頁)。 「やつぱり人間てものは、 どういふ必要があつて生きてるか 知つてゐなけりやなりますまい。 ロシヤの人間はきつと知つてゐる でせう」(128頁)。 人間の存在意義が問われる。 2014/05/29
じゃがいも
10
「シベリアの旅」は鉄道がなく馬車でサハリンまで大密林や丘陵の悪路は命懸けで大変だったようです。不思議と悪人や泥棒がおらずいい人ばかりでした。友人宛の手紙なので鴨スープが不味いとか、嵐の夜船で河を渡る時に動揺したり、大河エニセイ川を見た感動など素顔は冷徹でなく意外でした。シベリアに永久追放されたインテリ達には深く同情し、その後の「サハリン島」では悲惨な実態を詳しく告発しています。他の短編もシベリアが舞台でどこまでも突き進すむ情念は日本人とは違う。2020/05/09
マリンカ
5
当時は現代以上に辺鄙な土地かな? 貴重品ほっぽり投げてても盗まれんし 家の空いてたって泥棒は入らない 昔の田舎はどこのお国もそんな平和なとこだった 「女房ども」 う~ん、昔の女の人って生きづらくて大変… ヨーロッパの「レディファースト」 昔の概念は現代と違った意味よね しかしそれでもしたたかに…生きていきますよって 怖い怖い… 2018/05/30
酸辣湯
4
読んだんですけど、歴史的仮名遣いで読むのに苦労したため、内容があまり印象に残りませんでした😞まだまだ修行が足りません。 (初版昭和9年の岩波文庫)2019/08/11
てり
1
サハリン旅行での経験をもとにした短編と、シベリアを馬車で行く旅行記の表題作。シベリアに住む人びとのこと。2023/06/28
-
- 電子書籍
- 【デジタル新装版】となりの801ちゃん…
-
- 電子書籍
- 皇太子妃のお務め奮闘記 レジーナブックス