出版社内容情報
自由を求めてジプシーの群れに加わった主人公を通して,利己主義の温床たる支配階級への鋭い批判をなした「ジプシー」,大きな社会的建設の陰に犠牲となった小市民の悲劇を描いた「青銅の騎手」.これらの詩によって革命期の前夜に生きたこの人民詩人が,死後百数十年を経た今日もなお働く人民に愛されている理由を知るであろう.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
2
韻文作品集。すこぶるエンタメ的に読めそうな〈バフチサライの噴水〉。共同体の論理の狭間で認めたくない自分の姿に直面する〈ジプシー〉。善悪を決めるのは行動ではなく歴史の流れなんだな、と(著者の思惑とは異なるのだろうが)感じた〈ポルタワ〉。為政者と民衆の相克を幻想味たっぷりな描写で描いた傑作〈青銅の騎手〉。特に、全編通じて緊張感が持続し、荒れ狂う映像が浮かぶ〈青銅〜〉が飛び抜けて良かった。2014/10/15
ジョンとらぼるた
2
「お前さんは野蛮な運命には生まれついていない。お前さんは自分だけに自由を望んでいるのじゃ。」2013/11/23
Decoy
1
これはちょっと訳が古過ぎた…。プーシキンの叙事詩は、現在はどのような評価なのだろうか? 自分は、「歴史も戦争も、これほど甘ったるいものではないだろう」と感じてしまった。新訳で読み直したい。2023/10/23
刳森伸一
1
プーシキンの叙事詩を4篇収録。どれも哲学的・社会的内容を含む作品。各編とも短いわりに読み応えがあってプーシキンの素晴らしさを知るのに適していると思う。訳文が古いのがやや難点だが、それがかえって作品の雰囲気にあっている。2013/04/23
コマイヌ
0
(漢文は舊字の訓練になる…)「ピョートル大帝の国家的制定と彼の臨時の法令の間の差異は驚くに値する。前者は広大な、果たされた善意と聡明の知性の成果であり、後者はしばしば残忍で、我儘で、鞭によって書かれたように見える。前者は永遠のため、もしくは少なくとも未来の為であり、後者は短短気な専制的な地主のところからほとばしり出たものである。」詩は訳語で読むもんじゃないといういつもの感想。2017/02/25