出版社内容情報
『スペードの女王』のゾッとするような魅力は,いったい何と呼んだらよいだろうか.トランプの秘密に憑かれて錯乱する青年ゲルマンの姿には,鬼気迫るものがある.また,『ベールキン物語』はロシア文学最初の短編集といわれる名編である.いずれも,名訳と謳われる故神西清氏の翻訳を現代表記に改めて読者におくる.
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
108
標題作の「スペードの女王」について。理不尽テンコ盛りでwww。老伯爵夫人からリーザへ理不尽日常茶飯事、ゲルマンが老伯爵夫人へ懇願、逆切れ、恐喝の理不尽三点セットで死を誘導。 オペラにもなっている本作の事ですから、プーシキンが言いたかったことはもっと他の高尚な事なんだとは推測しますが、本作から感じ取った「理不尽」から何か違ったことを読み取れないものかと思ったりしています。2023/05/08
ペグ
103
「スペードの女王」のみ読了。詩人プーシキンの極めて映像的なこの中編小説は、後にドストの「罪と罰」へと繋がっていくのか。ぞわりと怖い女王の眼がニヤリとこちらを〜古風な文体も雰囲気を盛り上げている。再読予定です。2020/07/26
lily
100
プルーストの対極のような心理描写の少ない骨格だけの小説は心に響くものがないし反芻したくなるような言葉にも出会えなくて、私には退屈だった。詩集に期待しよう。ゲーテとシェイクスピアとダンテ級とは...!2021/02/14
コットン
68
『村上ラヂオ2』を読んで、『ベールキン物語』の「その一発」が紹介されていたのが読むきっかけに。簡単で特別な数字を言葉に出来るかどうかで明暗が分かれ、強烈な印象が残る『スペードの女王』のほうが好みでした。2013/12/14
k5
66
学生時代、ロシア文学は関係ないけど、小説をそこそこ読んでいる先輩が、「プーシキンは脚フェチだ」と言っていて、この人何を言うておるのだろう、くらいに思っていたのですが、確かに変なところで女性の脚にクローズ・アップする。「葬儀屋」に至っては、男性だけれども、骸骨の脚まで描写していて、ちょっと米朝の落語を思い出しました。。。それはさておき、サンジェルマン公爵にカードの必勝法を習ったと言われる伯爵夫人って設定いいですね。一切賭け事やらないのに必勝法に取り憑かれる男も「カイジ」みたいで楽しいです。2020/06/15