出版社内容情報
フロベール、ツルゲーネフ、モーパッサン、ゾラ、ユゴーなど、きら星のような文人たちとの交友の日常。「きらめくバザール」とも評された、爛熟期のパリを描いた無数のデッサン。下巻には1896年までを収録。
内容説明
「きらめくバザール」と評されたこともある、爛熟期のパリを描いた無数のデッサン。フロベール、ドーデ、ツルゲーネフ、モーパッサン、ゾラ、ユイスマンス、ユゴーなどの綺羅星のような文人たちと、北斎や歌麿の浮世絵をはじめとするジャポニスムの表象が、19世紀後半のパリを闊歩する。下巻には1876年から96年までを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
110
19世紀後半の文人達の夜の息づかいまで響いて聴こえてくるようで、驚愕の面白さ。読みながらニヤニヤが止まらなかった。皮肉とエスプリと下品さと神経症的傾向の高さと。世界三大告白本の密度を軽く超えてしまった。愉快な仲間達は岩波文庫に収録されている者ばかりで愛着の輪が広がるのみ。日本芸術への畏敬の念と愛着にも注目。2021/01/07
KAZOO
38
結構有名人が出てきて読んでいても飽きることがありませんでした。たしかにゴシップ的な色合いはあるもののこれだけ克明に当時のフランスの風俗事情を活写しているものは資料価値として十分なものだと思います。ジャポニズムを紹介したのも彼らということで日本との関係も結構あったようです。読みやすい日記でした。2015/01/10
踊る猫
36
ゾラ、フローベール、サント=ブーヴ、モーパッサン……綺羅星の如く巨星たちが現れ、彼らの死が記録される。それは逆に言えば彼らがどう生きたかを記されるということであり、さながら日記というミニマルな形態に纏められた大河小説という趣をも感じさせる。荒川洋治のエッセイで触れられていたのを読みこの『ゴンクールの日記』を読んでみたくなったのだけれど、読んだ甲斐はあったと思った。日記にハズレはない。ゴンクール兄弟の小説まで読みたいとは思わないが、ここからあるいは荷風『断腸亭日乗』のような日記文学を漁るのも手かもしれないな2019/02/03
やまはるか
19
モーパッサンの死後、母親が息子の実の父親はフロベールである旨の幾つかの状況証拠を挙げたという伝聞が記されている。現在ではこの説は認められていないと注釈。下巻の半ば、1887年から無難な抜粋として日記が出版されるや、暴露記事として物議をかもし周囲の人間関係が悪化、そのことが日記の内容にも反映して罵詈雑言が多くなる。「死後のアカデミーの計画」のため「わが幸福、わたしを愛してくれている女性との結婚を犠牲にしたのだ。」死後のアカデミーのために己を戒めて過ごした人生であった。甲斐あってかゴンクール賞は今に。2025/02/25
ラウリスタ~
16
勝手に弟子扱いしていたゾラが大作家となり、それが面白くないからか「あれは私たちの小説のどこそこからの剽窃だ!」とかドーデといっしょに「あのイタリア人め」みたいにゾラの悪口をいったりする。でも、ゾラが奥さんと不仲になり(女中に手をつけたから)家に居づらくなると、しめしめと思ったのか、なぜか友情が復活している。そもそも「自然主義」なるものは僕ら兄弟の発明であって(ゾラはその模倣で)、そんでもって今世間を熱狂させているジョポニスムも印象派ですらも、僕たちが見出したんだぜ!ってのをいつまでも言い続ける。2017/06/30