岩波文庫
牝猫

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  • サイズ 文庫判/ページ数 200p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003258514
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

人間どうしさながらに意志をかよわせて睦みあう青年アランと愛猫サア.アランの愛のみを待ちうける新妻カミーユの不満は,やがて「第三者」サアに対するいらだちと嫉妬の心にかわってゆく.二十世紀フランス文壇の女王コレット(一八七三‐一九五四)が,一匹の牝猫をはさんだ若い新婚男女の微妙な心理を繊細な感覚でとらえた円熟期の代表作.

内容説明

人間どうしさながらに意志をかよわせ睦みあう青年アランと愛猫サア。アランの愛のみを待ちうける新妻カミーユの不満は、やがて「第三者」サアに対するいらだちと嫉妬の心にかわってゆく…。20世紀フランス文壇の女王コレット(1873‐1954)が、一匹の牝猫をはさんだ若い新婚男女の微妙な心理を繊細な感覚でとらえた円熟期の代表作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takaichiro

109
女流作家コレットのこれぞフランス文学たる短めの作品。新婚夫婦と雌猫の奇妙な関係。新郎のアランは雌猫のサアを可愛がるが、それが行き過ぎだとカミーユは嫉妬。愛情のバランスが崩れ嫌悪に変わる。カミーユの執拗な口撃にアランは呆れ「飼い猫であるサアの存在が結婚生活に悪影響を与えるなどあり得ない。そんな風に考える女性とは一緒に生活できない」と新居を出てしまう。愛する者を独占したい気持ちは誰にでもあるが、それが行き過ぎて嫌悪に変わっては元も子もない。どんなことでもバランスが大事。古今東西男女関係には鉄則の様です。2019/09/24

藤月はな(灯れ松明の火)

82
新婚夫婦に立ちはだかるのは姑ではなく、夫の愛猫。そしてアランの愛猫、サアへの対応を巡り、露になるギャップ。陳腐な互いに子供な新婚夫婦の離別物だが、心理変化の描写の精緻さがこの作品を高貴なものへとさせています。特にカミーユが次第にサアに募らせる敵意の熟成とそれが殺意に変わった一瞬、懐に入れてしまうと母性に変わるけど、そうでないと張り飛ばしたくなる甘ったれ坊や描写が本当に巧い!多分、カミーユとアランの愛が日常で色褪せて互いに共にいると息苦しさを覚えた頃にサアが入ってきたなら良い関係を築けたのかもしれない。2022/03/29

やきいも

74
1933年にフランスの女流作家によって発表された作品。青年アランとそのペットと牝猫サアの仲むつまじさに嫉妬するアランの新妻カミーユ。2人の人間と1匹の猫の三角関係を描いた作品。劇的なストーリー展開はなく最後まで淡々とすすんでいく感じです。ヨーロッパの文学に興味がある方は心ひかれるかも。2015/09/03

Gotoran

68
飼い猫を溺愛するお坊ちゃまの夫とその牝猫に嫉妬するお嬢ちゃまの新妻の奇妙な三角関係が描かれる。美しい牝猫サアと深い絆で結ばれ友情と愛情を注ぐ、あまりにも自己中心的なアラン。あまりにもがさつなカミーユ、そしてあまりにも美しいサア。サアと特別な関係にあるアランの耽溺ぶりに、嫉妬したカミーユはとうとうサアに対して大変なことを仕出かしてしまう。・・訳者解説にある写真(傍らの猫に見守られ執筆する著者)から窺い知られるように、猫や犬や美しい自然を愛したというコレット。猫への愛情と女性ならではの繊細で官能美溢れる作品。2016/02/14

あじ

53
胸に爪をたてる愛撫。濡れた鼻を刻印するように押し当てる接吻。甘噛みの甘美さと痺れを私に伴わした、男と女と牝猫の三角関係は、裏返しに脱いだシャツに袖を通すような違和感がなかった。不純のようで純真で、野生であって自然。牝猫の性も女の性も、私に親い血筋と感じた。2015/05/02

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