出版社内容情報
パリに出て市役所の吏員となる傍ら,新聞や雑誌に小説を発表し,下層社会の人々をつつましい共感を以て描き,ポピュリスムの先駆者といわれるフィリップ(一八七四‐一九〇九)の珠玉の短篇集.死後刊行されたこの短篇集には,「バタの中の猫」「めぐりあい」「食人種の話」「恋の一ページ」「やきもち娘」等々の二十四篇を収める.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぱせり
8
二十四編のコント(小品)は舞台さまざま、状況も様々、ジャンルも様々だけど、全体として牧歌的な雰囲気が漂う。『チエンヌの女房の足』『ぬけやすみ』『サタンの敗北』『マッチ』が印象に残る。作品を飾る沢山の挿画は作者が描かれたもの? 何も説明がないのが気になって。2013/05/22
カタクチイワシ
3
フランスの作家、フィリップによる短編集。庶民の生活に起きる大小様々な事件を通して、倫理でも理性でも割り切れない人間の心理とその触れ合いが描かれる。「マッチ」「ほどこし」「遺言」「恋の1ページ」「ぬけやすみ」あたり好きだったかな。2020/04/22
桜もち 太郎
3
24の短篇集。チャンチャンと終るもの、後味の悪いもの、これがオチってもの、それぞれだが我々が言う爆笑「コント」とはちょっと違うかな。「三人の死刑囚」は良かった。それにしてもどうして「朝の」なんだろうか・・・。2017/06/11
takeakisky
1
どこかはんなりとした日本語がやさしい。たまに江戸なまりが交じるのもいい。重たくなりすぎない。でも、軽すぎない。そこはかとない悲哀がページを締める。カットもまた、いい。殺伐とした時事を報じた記事の合間に目にすれば、気づかず頬はゆるみ、隣人に思いやりのこころをもって一日をはじめることができそうだ。もちろん、そうでもないものもあるけれど。そんなときは、おそらく今日一日どうしたもんか、という気になるね。フランス短篇傑作選で読んで、そういえばあったはず、と読み始めた。シャルル・ブランシャールは、NDLで読める。2025/03/16
Gen Kato
1
まとまりのいい小咄集。読後感は、当たり前といえば当たり前のことながら、ルネ・クレールやジュリアン・デュビビエあたりの古き良きフランス映画を観たあとの感覚に近いです。人間とその営みに対する距離感がいかにもおフランス。2014/01/23
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