出版社内容情報
「地獄」で人間の本能を赤裸々に描いたバルビュスは,第1次大戦を主題としたこの作品で,さらに鋭く人間性を追究する.歩兵部隊の名もない兵士たちの救いのない戦場生活.戦争という暴力の前にあえなく屈する個人の自由.戦争はいったい人類に何をもたらすか? のちに平和運動に挺身した作者の熱情あふれる名作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
23
塹壕へご招待。作者のバルビュスは、四十一歳の時に自ら進んで兵役を志願。自分の目を通して見た第一次世界大戦の姿を赤裸々に語ったのが本書『砲火』です。上巻では、まだドイツ兵との交戦はあまり無く、主に塹壕での生活や背嚢を背負っての過酷な移動、前線の一兵卒としての憐れな心境などが丁寧に描かれています。読んでいて思わず息を止めてしまうほどの塹壕内の不衛生な様子は、実際体験したら正気を保つのが難しくなりそうです。下巻へ続きます。2016/07/11
ののまる
7
第一次世界大戦の西部戦線での一兵卒のリアルな記録。2021/04/02
歩月るな
5
「だが、結局それが人生だ。おれたちはやりなおしのために生れてきたんだ。ついでに、生活もやりなおしだ。幸福もやりなおしだ。昼間も夜もやりなおしだ。」ボルヘス曰く「忘れられた作家」の作品では有るが、ボルヘスはこういうものも嗜んでいたわけで。前作『地獄』の絶望から、従軍体験を経て書かれた作品、戦争というイメージから、やはり旨い汁を啜ってらっしゃる人々たちが、権威を持ってバルビュスを糾弾する事になる(戦地の彼がどれだけの英雄であろうと、銃殺相当と教会も述べるほどの威力がこの本には有る)由で、余計の生々しさが有る。2020/08/14
takeakisky
1
兵士から見た戦争のスケッチ。第九章から、トーンは変わらないが、深刻な内容に。ヴォルパットの怒り、シュイヤールの疑いとやりきれなさ、フイヤードの欲求不満と人間らしさ、故郷を失ったポテルローのドラマ、バルクが一息入れさせてくれる。一年以上帰郷できる休暇がなく、消耗していく兵士の一人として塹壕戦を戦うということ。ところどころで見聞きする、ここではない場所の別世界ぶり異次元の違い。しらける。しかし、彼らは、決して褒められた人々ではないが、愚痴を吐きながら、いやいやながらも自らの義務を果たす。なんなんだろう、戦争。2026/03/16
ペンギン捜査官
1
バルビュスの実体験を基盤として誇張や理想化の一切を取り払った、まさに自然主義的な戦争小説。こういった小説に批判や文句は筋違いで、ただ目の前に広がる惨劇と兵士たちとを、、人間たちとを目撃する。苦しい、けど向き合わなければならない読書体験。 無為に死にゆく彼らにも彼らの生活、希望、将来があった。戦争とは余りにも愚かだ。一体何なんだ?2024/10/31




