出版社内容情報
1936年夏,ジイドは長年憧憬を寄せていたソヴェト連邦を訪れ,自らの眼でソヴェトの現実の姿を見た.彼の,偽らず仮借するところのない見聞記は,全世界の知識人に異常なセンセイションを巻き起こした.20世紀の代表的知性の旅行記であり,魂の告白ともいうべきもの.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンドバッド
6
戦前 岩波文庫 発売直後にジイドの詩が「厭戦」ということで削除命令が出された。該当ページが切り取られ「削除済」として発売されていた。その直後、改訂版として、その詩の部分のみが削除された版で出版された。2014/06/22
新田新一
5
旧仮名遣いで、読みにくい文語調で書かれていますが、読む価値はあります。フランスの作家ジッドが1936年にソ連を訪問した時の記録。昭和の頃ソ連を攻撃する記事やマルクスの人格を否定する記事を読んで、気分が悪くなったことがあります。私は社会主義は支持しませんが、その国で暮らしている人達まで否定したくないです。本書にもそんなところがあり、ジッドのソ連の人々への親近感が熱く語られている部分は、読んでいて嬉しくなります。同時にスターリンの独裁主義への警戒感が書かれ、ジッドの文学者としての感性の鋭さに感心しました。2023/08/05
カワサキゴロー
2
スターリン時代になったソヴィエトの旅行記。 短い旅行記なのに、ジィドの目線は目の前のコトを柔らかくも冷徹的に描いていく。 ソヴィエトへの期待からまだまだこれからの現実はやむ得ないと語りながらも、悲観的予感をただよわせる。 そしてそれは当たった。 現代でも他国について、こんな風に語ってくれる知識人はいるのだろうか。2024/12/08
meirokun
2
前半部は「ソヴェトほど深く強くヒュマニティの感情を感じさせる民衆はいないだろう」と述べているように、かなり肯定的に書かれているように思われましたが、旅を進めるにつれやはり、民衆が抑圧されていたと見えていた模様。ジッドがスターリンに手紙を書こうとしたとき、「貴方」ではなく「労働者の先導者である貴殿」じゃないとダメと言われてます。ドンマイ2010/09/25
samandabadra
1
1936年にソヴィエトを旅したときの記録 社会主義を信じていってみたが 情報を統制しようとする国家や 他の国の物事より自分の国のものごとを 外国の人がどれだけ知っているかを確認し 自分たちの偉大さを確認する人々の行動などを 批判したもので 結構、今にも通じるところが 64ページの外国語を学ぶ人々の行動の例や 71ページのゴーリキーの『死霊』の引用に納得。2009/03/01