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岩波文庫
贋金つくり 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 298p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003255865
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ジイド(一八六九‐一九五一)が贋金使用事件と少年のピストル自殺という二つの新聞記事に着想を得て,実験的手法で描いた作品.私生児の生れに劣等感を抱く青年や作家の分身とも思われる作家,少年を使って贋金を流す男,級友のいじめにより強いられて自殺する少年など,無数の人物が登場して錯綜した事件の網目模様を繰り広げる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

115
思春期の青年は、身体は頑丈になってきても心は揺れ動きやすい。たやすく傷付き、わけもなく感動に震える。そんな時期に、自分の出生の秘密を知った少年の動揺はいかぱかりか…。娘たちへの恋がシビアであるのは、ジイドの嗜好が出てはいまいか。オリヴィエとベルナールが1つのベッドに寝ている時の描写や、他の男性に憧れる様子には、尊敬や興味以上の危険な匂いがする。ベルナールと父親がどうしていくのかが、一番下巻で気にかかるところ。2016/04/14

NAO

50
1906年の贋金事件と1909年のクレルモン・フェランで起こった15歳足らずの中学生の自殺事件という二つの事件を契機にして書かれたジッドの意欲作。贋金とはなかなか意味深な言葉だが、「思春期のまだ善悪もわきまえない少年たちを惑わすもの」と「芸術における偽物」という意味で、象徴的に使われているようだ。好奇心に満ちた若者たちの危さにハラハラさせられる一方で、登場人物たちの文芸論は興味深い。2016/07/03

うらなり

35
題名であるが、講談社文学全集の解説者若林真氏は『贋金つかい』と呼んでいるが私も内容からいって『贋金つかい』のほうがふさわしいと思う。ゲリダニゾリ、ジョルジュ等は贋金を使ってはいるが、作ってはいない。ジイドは、この作品だけを小説と呼び、他の作品は物語や茶番であると区別したようで、小説の要素以外を6年もかけて極力排除したとある。次々と新たな人物が登場してメモを取りながら読み進めたが読みにくい小説であった。上巻でパリから舞台をスイスに移しマンの『魔の山』のような感じを受ける。 2021/04/04

ハチアカデミー

16
ジイドの「純粋小説」は、特定の主人公の視点ではなく、複数の人物の視点から、そこで起こったことを作品化するという試み。『贋金つくり』という小説を書こうとしている作家エドゥワールの日記を主にしつつ、彼の内面描写、語り、小説論も入り混じる。加えてとかく多数の人物の関係が入り混じり、青年の苦悩、男女のすれ違い、少年の無邪気な悪意など、みなが葛藤を抱えつつ、なんだか好き勝手に動きまわる。相関図必須である。ジイド本人も口を挟む。「現実の世界と、現実からわれわれが作りあげる表象との競合」を目指した物語は後半へ続く。2015/03/25

mstr_kk

12
奥付を見ると、1993年の第14版。中1の僕にとってはあまりに厳しい一冊で、それ以来、何度も挫折をくり返してきました。今回、意地でも読み通すことを決意し、細かく書き込みをしながら読みはじめました。苦労しつつ170ページあたりまで来たとき、「よかった! 面白くなった」と思ったのですが……勢いが続かず。とにかくエドゥワールの日記に芸がなくて、テンションが落ちます。センスに欠けます。小説についてのこの程度の自己言及的な問いも、歴史的重要性をもっているのだと、理解はできるのですが。苦痛の中で上巻を読了……。2020/04/28

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