出版社内容情報
『女の学校』は日記体の小説で,前篇には婚約期の楽しい日々が,後篇では結婚二十年後の夫に対する批判が記されている.はじめ申し分なく思えた夫も今では偽善と虚栄の化身となっている.それは夫が変ったのではなく妻の女性としての眼が開けたのである.―しかし夫の眼には妻はどう映るか.『ロベール』はこの妻に抗議する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KUMAGAI NAOCO
2
「女の学校」の前半は主人公エヴリーヌがロベールと婚約して結婚する迄の間に記した日記、後半は結婚して20年後の、更に「ロベール」はエヴリーヌが亡くなった後の元夫の心境が綴られている。面白いのは、前半エヴリーヌはロベールの人柄や世渡り上手さ等を全て愛していたのに、20年の歳月を経て、時代の変化と共にそれが全て欠点に写り、娘もまた母の変化に協調する立場を取っている。だが、夫は何も気づく事なく、彼女の変化を受け入れられなかった。割と現在の女性像、夫婦関係にも通じてて、100年前に書かれた感じは全然しないし面白い。2022/12/26
クッシー
2
教養もあり、社交的な夫を尊敬する妻の手記。だが20年後、手記は夫の空虚さを非難する内容へと変化する。一見美徳に映るものも、蓋を開ければそうではなかった、ということはよくある話。逆もまた然り。夫婦でさえなければ良い関係だったかもしれない。そんな事を考えると、結婚とか夫婦って何なんだ、という疑問に辿り着く。僕の場合、実際の体験が伴わなければ、机上の空論に過ぎないので、あれこれ考えたってどうしようにもないのではあるが。ともかく夫婦のみならず、対等な人間関係が大事。これからもこのテーマを深めていきたい。2021/11/21
めっちー
1
ロベールと結婚したエヴリーヌがロベールに絶望する話で、「人形の家」と似ている。「女の学校」はエヴリーヌ、「ロベール」はロベール側から書いた日記で、お互いに食い違っている。「ロベール」は「女の学校」から二十年後に書いたという設定で、「女の学校」に見られた熱情はなくなっている。ロベールは男尊女卑思考の一方、エヴリーヌは進歩的な思考を持つようになる。ジイドは同性愛告白本「コリドン」もそうだが、前衛的な思考を持っていた。父親がロベールとの結婚を反対してたが、親の方が冷静に相手を見てるのよね。実は未完の作品らしい。2021/06/08
sa
0
祖父にもらって読了。2015/08/05
ツライシ
0
ロベールはあからさまな男尊女卑思考。エヴリーヌとジェヌヴィエーヴはロベールの思考や流され易さ(本人いわく世渡りの方法)に反感を持ち行動にもそれを表したりしていて、女性のあり方についての考え方はかなり進歩的。当時としてはロベール側が主流だったろうが、現代の感性を持つわたしはエヴリーヌに親近感をおぼえた。2011/12/24