出版社内容情報
第一次世界大戦前後のヨーロッパ,そこに生き,苦悩し,新しい光を求めてすすんでゆく一人の女性アンネットの愛と自由を描くロマン・ロラン(一八六六―一九四四)の大河小説.異母妹シルヴィ,息子マルクとの関係を軸に,社会・政治・恋愛等の問題が語られ,現代の女性の生き方にも示唆を与える不朽の名作.『ジャン・クリストフ』の姉妹篇.
内容説明
愛しながら傷つけあっていた母と子は、遠くはなれてかえって互いの真の姿を発見する。戦争は終わり、マルクは勉学に革命運動に全力をあげてつきすすみ、アンネットは戦後の頽廃と混乱の中で生活の資を得るために奔走する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
km
24
「彼らはみんな、彼女とともに、「幻影」の縄にかかったのだ。彼らは頭を低く構えて闘牛士の赤い合羽に飛びかかって、そこに落ちこんでしまうのだ。ある人々にとっては、それは国旗であり、狂気じみた神聖な愛国心だ。またある人々にとっては、それは人類の同胞愛と愛への信仰だ。また彼女の息子、何物にも騙されないと称し、「言葉の幻」を軽蔑する彼こそ、すべての人々の中で最も幻を抱くものではないか、「真理」に対するこの情熱は、なんという偉きな幻だろう!そして万人が自分たちの煙に酔い痴れているのだ。彼らは夢みているのだ。」2018/01/06
しんすけ
2
1917年、物語は急激に動き始める。ここまでの登場人物の内面分析が、この大きな動きを受容可能にしていた。ロマン・ロランの強かさを漸く気づかされる。アンネットに反戦平和が芽生えたのであろうか。いや、アンネットはもう四十歳を過ぎている。思想の大きな転換はこの年齢では、例外でしかあり得ない。表面化することが無かった彼女自身の心根が行動を開始したと観るべきだろう。捕虜となったドイツ人画家の救出に向かうアンネットには逞しささえ窺える。2016/08/23
アリョーシャ
1
(二)で造形が落ち着いてきていたアンネット、シルヴィに加えて、マルクも造形が固まってきて存在感を放ち始めた。(大)長編は、全編の折り返し地点を超えてからがおもしろくなる。これからだ。2017/08/01
かりんとー
0
しんどい2014/11/17