出版社内容情報
第一次世界大戦前後のヨーロッパ,そこに生き,苦悩し,新しい光を求めてすすんでゆく一人の女性アンネットの愛と自由を描くロマン・ロラン(一八六六―一九四四)の大河小説.異母妹シルヴィ,息子マルクとの関係を軸に,社会・政治・恋愛等の問題が語られ,現代の女性の生き方にも示唆を与える不朽の名作.『ジャン・クリストフ』の姉妹篇.
内容説明
裕福な家庭に育ったアンネットは、父の死後、異母妹シルヴィを知り、親しくなる。一方、破産を宣言され、恋人ロジェとも別れる。そして、彼との間に生れたマルクの母としてのたたかいの日が始まる。一次大戦前後のパリに生きる一人の女性を描く大河小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
km
32
ストーリーはジャン・クリストフに比べると地味目ですが、かえってそれが凡庸な個人に勇気を与えるように思います。共産主義への期待から偏った部分もありますが、カルト的共産主義ではなく、当時の本来の姿を描いているように思います。 傍論ですが、本作は太平洋戦争中に岩波書店が発行した最初の文庫だったようです。帝国主義を批判していたロランを、あえて発行した岩波書店はすごいです。また、戦時中であってもロランを読んだ日本人がいたことが嬉しい。2017/11/20
アリョーシャ
6
ロマン・ロランの抽象的な描写は、集中して読まないと内容が飲み込めない。「ジャン・クリストフ」を読んだときもそうだったが、今回も読むスピードが上がらずに難儀した。納得する描写はいくつかあり、第二巻「夏」の第一部終盤で登場するジュリアンは自分とよく似ていて、気持ちがよくわかる。とはいえ、ロマン・ロランならではの音楽的に美しい描写は見られなかったように思う。2017/06/24
荒野の狼
4
最初のエピソードの“1.アンネットとシルヴィ“はインドのリグ・ヴェダからの文が最初に引用されているが、この長編がインドの精神が反映されていることの予告とも言える。裕福な家に生まれた主人公のアンネットは、最初は”人は不安を与えるものを自分の内に見たがらない、、、彼女はこの内海を知らないでいることを選んだ“ような若い娘として登場。2013/12/19
ヤマカン
4
いま20台前半で、全体の7割程度を読み終わったが、ネット上のこの本への評価の大半が「読みづらい」というものになっているのはとても驚いた。この本はとにかく読みやすい。心情描写はつねに生生しく理想的で、しばしば差しはさまれる人生の普遍の真理的な格言は現代にも通ずるものがほとんどであり、これまでの自分の人生で得た教訓の答え合わせ的な意味合いを持っている。今まで出会ったどんな本よりもはるかに理性的かつ感動的で、何の苦労もなく読めすべてのページで感動する。 現代の、若く体の弱いインテリなら必ずこの本に感動するはず。2018/10/24
かりんとー
3
アンネットとシルヴィの性格と関係をつかむのに苦労したが、第二部は面白く一気に読めた。続きが楽しみ。2014/11/12