出版社内容情報
作者が海軍士官として初めて日本に来て,長崎の郊外で可憐な少女オキクサンと退屈な一夏を過した時の日記体の小説.気の毒なムスメお菊さんが青ざめた人形のように取扱われているこの小説は,本質において日本文化の批判であり,結果において外国人が日本的なるものを理解することがいかに困難であるかの告白である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
81
訳者が「ロチの此の甘味を缺いだ小説が日本人の大部分に喜ばれようとは思へない」と書いたとおり、私も日本人として全く喜ばなかった。むしろ不快であった。百三十年も前のこと故、そういう時代だったのだと割り切ればよいのだろう。しかしそうしなければならない理由もない。ロチにとって日本人は未開の土人であり、現地妻はペットである。焚書せよとは言わないが私は読むに値しないと思う。蛇足ながら、私は芥川の「舞踏会」を二度ばかり読んだが、二度とも何の感興をもよおすことがなかった。これに登場するフランス人海軍将校はロチである。2019/03/16
蛇の婿
7
文明開化当時、遙か東の『日本』という島国は、ヨーロッパの諸国の人びとにとっては、未だ発展途上の国であり、そして神秘の、魅力にあふれた国でもあったようです。…残念ながらピエル・ロチの目には、いざ行ってみたらせっかく独自の文化を持っているくせに、ヨーロッパ諸国の文化のとんちんかんな猿マネをはじめたつまらない未開の土人、くらいにしか映らなかったようですが、逆に言えば、そう思われても仕方のない部分が日本にもあったことは確かでしょう。書かれている文章には、文明国の人間の持つ傲慢さのようなものも読み取れ、けっして2012/10/30
HARUKI
6
ゴッホのジャポニズムについて調べていたら、この本の挿絵にも影響を受けたことがわかり 読んでみた。日本は今でこそ近代化され 人格やその尊厳についての価値観が高められているが 本が書かれた当時は かなり低いものであった。今との価値観のギャップが興味深く 驚くべきものであった。西洋から見た日本人は猿や子鼠であったのだ。そして白人男性にとって 日本人の少女はペット化された現地妻であった。それをお金でうる親達。そんなに昔ではない日本人の文化や人格の捉え方に驚愕した。2017/09/13
ココマ
4
タイトルとは裏腹に、契約結婚?したお菊さんの美しい思い出話でもない。読むほどに著者に腹が立った。シノワーズ好きのイエロー嫌い、とは彼のことだと思った。急いで日本女と結婚したわりには、この結婚を忘れたいなんてこというなんて、がっかりさせられた。しかしながら明治の生活に興味のある人にはお勧めです。2012/05/28
讃壽鐵朗
2
外人の妾となる話で不快