出版社内容情報
フランスの穀倉ボースの平原を舞台に,零細な土地に執着する貧農の,素朴でしかも貪欲な動物的生態を描いた本書は,19世紀の農村の真実を描破した大作.親のへそくりを奪うために実父を殺す息子,妻の妹の相続した土地をわがものにしようと強姦する夫に協力しついに死にいたらしめる姉――恐るべき人間の獣性.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
16
居酒屋のジェルヴェーズの弟ジャン・マッカールが登場。軍隊を退役してきたジャン・マッカールはフーアン爺さんの姪フランソワーズと恋仲に。フーアン家の土地を巡る争いが凄まじい。フーアン爺さんは土地を息子二人と娘一人に平等に分配しようとする。2024/06/22
LUNE MER
14
鉄道を舞台にしたピカレスクやら炭鉱を舞台にしたプロレタリアやら読む度に別物になるルーゴン・マッカール叢書。今回の舞台は農村。農村といえばトルストイの「アンナ・カレーニナ」でも実に美しい風景が描かれていたが、本作では自然よりもそこに生きる人々のドロドロな面にフォーカスされている。特に淫乱な描写はトルストイが絶対嫌いなやつ笑。今回の主人公ジャンは「居酒屋」のジェルヴェーズの兄なのだが、家系特有の狂気性は上巻の段階では発露しておらず、なんとなく地味な立ち位置。上巻はまだカタルシスなし。2021/07/02
kitano
1
旧漢字にメゲつつも内容の凄まじさに読んだら止まらない 輸入小麦の脅威、保護政策か自由貿易か、そして相続問題 100年以上昔も現代も世の中の問題は余り変わらない 田舎の狭く濃い人間関係は世界共通なのか おしんのあんちゃんも極貧の農家を継いで兄弟を思いやる余裕もなかったけどここまではしなかった。 民族の違いなのか、宗教という重しを持たない農民が良心もモラルもなくやりたい放題。 日本人はなぜ宗教心がないのにモラルがあるのか、と欧米では不思議がられるらしいが。自分が若い頃読んだらどう感じただろう2019/11/12
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