出版社内容情報
故郷プロヴァンスを舞台にした「スガンさんの山羊」「星」など24の掌篇から成るドーデー(1840-97)の出世作。中でも、のちに戯曲化された「アルルの女」は名高い。南フランス独特の自然と風物、洗練されたユーモアと詩情。悲喜こもごもの人生模様に向けられた作者の眼差しは、どこまでも繊細で優しい。(解説=有田英也)
内容説明
故郷プロヴァンスを舞台にした「スガンさんの山羊」「星」「法王の騾馬」など24の掌篇から成るドーデー(1840‐97)の出世作。中でも、のちに戯曲化された「アルルの女」は名高い。南フランス独特の自然と風物、洗練されたユーモアと詩情。悲喜こもごもの人間模様に向けられた作者の眼差しは繊細で優しい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
125
古い風車小屋に住み込んで執筆された掌編24篇。洗練されたユーモアと詩情を盛り込み、詩人ならぬジャーナリスト目線で南仏プロヴァンス地方と旅行を語る。『アルルの女』は『二軒の宿屋』にも登場し、扱いも同様で得体の知れない存在。パリ文壇へのアンビバレンツな感情が現れた『黄金の脳みそを持った男の話』は、不毛な脳髄生活で破滅する寓意が至極現代的。人語を話す山羊、報復する驢馬、紙入れが痛切な余韻を残す道化など、命運に同情しつつも控えめな距離感を保つスタンスや、星を眺める令嬢と羊飼をはじめ淡いロマンティシズムが心地よい。2023/11/05
ehirano1
66
「アルルの女」について。当のアルル自身とジャンのコンタクトがなくwww、ジャンの一方的な片思いのような感じがしますが、そんなことよりもジャンの想いが強すぎて最悪の結末へ。空元気は何かの良からぬことの兆候であると改めて感じた次第です。2023/09/10
なる
27
もう使われなくなって廃墟と化した風車を買い取って住み始めたドーデーが風車小屋の周囲で起きた世間の出来事をそのまま俯瞰して綴った話、という体で書かれた物語。実際にはドーデーは風車小屋を買い取ったわけではく、近くに住んでいた友人の家に遊びに行った際に風車小屋の周辺で見かけた人々のエピソードを元にしてオリジナルで考えた話だという。やけにリアルな感じなのはさすが。けれど何よりも興味深いのは同じドーデーが描いた『アルルの女』がこの中のエピソードとして採り上げられており、ここから独立した物語になったのだという。2023/06/11
ラウリスタ~
15
2014年に前の岩波文庫を読んでいたらしい。が、読書メーターの仕様のせいか、その記録は見つからず。いい加減、自分の読書記録くらい検索できるようになってほしい。これはドーデが30手前までに書いた、南仏の匂いが強く漂う牧歌的な短編集。金の脳みそを持つ男とか、法王の驢馬とか、印象的な短編もある。フランス語で読まないと分からないところだろうが、プロヴァンス語で書いたフランス語とかなんとか。のちの自然主義小説家っぽさは全く感じられないし、こんな純真そうなのに陰口帝王になるんだなと。児童文学としても十分読める。2022/10/06
ひと
11
図書館本。作者がよく訪れた南仏プロヴァンス地方のアルルの近くにある風車にまつわる小話、地域に住む人々や自然や風物を短編集にしたもの。自分も何年か前この風車を実際観にいきましたが、読んでから行けば全然違ったろうなと思いました。2023/01/29