岩波文庫<br> リイルアダン短篇集 〈上〉

岩波文庫
リイルアダン短篇集 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 180p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003254134
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

作者はフランス屈指の名門の生れ.一生涯貧困生活を送りながらも孤高,あたかも流謫の天使にも似て世の常ならぬ郷愁に耽り,その夢想はあくまでも高潔,俗衆社会を愚弄する声は痛烈であった.彼こそ正に19世紀文学史上の妖星ともいうべき存在であろう.「残酷物語」のなかの短篇「未知の女」「断頭台の秘密」など28篇を収める.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

28
読友さんに教えてもらったヴィリエ・ド・リラダンの短編集が大学の図書館になくてガッカリしていたのですが市の図書館にあったので迷わず、借りました。「ヴィルジニとポオル」はお金の心配をする子供たちの会話だったので初めはひきましたが、お金を貯める理由でのギャップの反転によって一気に微笑ましくなりました。「イザボー女王」の救われなさや「民衆の聲」の世情に右往左往する大衆の移り気と乞食の叫びの一貫性による鮮烈な対比、「美しきアルディヤヌの秘密」の罪こそが愛を燃え上がらせる皮肉も印象深いです。「ヴィエラ」はやっぱり怖い2013/05/12

壱萬参仟縁

15
旧字体。 「民衆の声」で、 民衆が楽隊や寺鐘や大砲に 酔ひ、之等追従の喧噪に 惑はされて、衷心の祈願を 彼等自ら糊塗せんと試みたが 畢に徒であつた時にも、 熱心ではあるが要するに虚偽の あらゆる言句の下に在つて、 彼の乞食は、彼だけは、 顔を向け、雙の腕を揚げ、 手探りに、 彼の廣大なる闇黒の裡 に於いて、 教会の久遠の閾に立ち 上つて、――且つ、 一声は一声よりも悲しく 而も星の世界の彼方迄も 届くかと思はるゝ声を 以て、預言者の如き 矯正を叫び続けてゐる (101頁)。    2014/06/10

ひろゆき

3
スタイルが一様ではなく楽しめた。これぞロマン主義というのもあれば、古さを感じさせないブラックユーモアあふれたもの、戯作的なものと、多種。太宰の短編と似たものもあり、これが種なのかしらと思ったり。渡辺一夫とか伊吹武彦などが、それぞれ好きな作品を訳しており、古風な旧字体に触れるだけでも勉強になる。図書館書庫から借りる。とても年代物で、紙が真っ茶色。奥付に、指を舐めて頁をめくってはなりませんなどの注意書きが貼られていた2018/10/15

takeakisky

1
フランス短篇傑作選からのヴィリエ・ド・リラダン。あちらにも収録のヴェエラ、漢語多めの硬質な訳だと少し雰囲気が変わる。ひたひたと寄せくる恐怖と好奇心の甘い混淆、不断の緊張を強いられるのは、斷頭臺の祕密。首が痛くなる。この二篇が格段。夢大盡、優れてはいないが、終いの一言にぐさっと刺される。ありの儘に見ている世界の味気なさ。ありの儘に見ているつもりの浅はかさ。譯者は、19世紀組の辰野・鈴木、20世紀組の渡邊・伊吹。好きなのは、渡邊一夫。よもやここで德利大明神に出逢おうとは。読みやすいのは、伊吹武彥。2025/03/16

のんき

1
S27.8.5 第1刷発行

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