出版社内容情報
歓楽の生活をなげうち，真実の恋に生きようとする娼婦マルグリットと純情の青年アルマンの悲恋の物語．何ものにも代え難いその恋さえ恋人の前途のため諦めて淋しく死んでゆくマルグリットに作者は惜しみない同情の涙を注ぐ．汚土の中からも愛の浄化により光明の彼岸に達し得るもののあることを描き，劇にオペラに一世を風靡した．
内容説明
歓楽の生活をなげうち、真実の恋に生きようとする娼婦マルグリットと青年アルマンとの悲恋の物語。何ものにも代え難いその恋さえ恋人のために諦めて淋しく死んでゆくマルグリットに、作者（１８２４‐９５）は惜しみない同情の涙を注ぐ。汚土の中からも愛の浄化によって光明の彼岸に達しうるもののあることを描き、劇にオペラに一世を風靡した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
48
１８４８年初出。小説の人物には人間を十分研究しなければならぬ（３頁）。人生の入り口に道標二つ。善道と悪道。迷う人には悪⇒善へ出られる筋道をキリストのように教えてやらねば（２５頁）。清原和博にもな。心というものは、いったん、自分の望みを遂げようと思えば、手段を選ばず、勝手な理屈をつけるもの（７６頁）。家庭だの出世だのということは、殿方にとっては第二の、最後の恋（１４９頁）。よかった、そんな世間体など気にする必要のない人生で。2016/04/03
イプシロン
34
少しく極端なきらいはあるが、人をありのままに愛せない人間の卑小さを、純潔な愛と悲しみを抱えつつ死にゆくマルグリットをとおして、恋愛にある普遍的真実の華を艶やかに咲かせてみせる傑作。人はなぜその人である前に、性別であるとか容貌や身持ちや貴賤という役割を問うのか。その問いによって恋は恋でなくなり、欲望やしがらみを愛することになるのに……。都会的で不均衡な関係や感情に囚われた恋、田舎の自然のなかでありのままに恋する二人を対比する場面の美しさよ！ それだけでも十分だが、やはり『椿姫』の白眉は犠牲愛なのだ。2018/06/29
ヴェルナーの日記
24
高級娼婦マルグリットと純情素朴な青年アルマンの悲恋な恋物語。本作も面白かったが、自分としてはオペラ版『椿姫』のほうが興味深い。オペラ版では、ピアーヴェが台本を書き、ヴェルディが曲を創っている。主人公マルグリットを、ヴィオレッタに恋人アルマンをアルフレードと名前を変更されている。小説版『椿姫』は、長編に分類されるが、それをオペラ作品にすることで、より中身が濃い作品になっていて、しかも全編にわたり、ヴェルディの曲がつけられている圧巻ともいえる作品に仕上げっている。出来れば、１度鑑賞されて観ては如何でしょうか？2014/06/21
糸桜
23
外国文学は嫌いだとか何とか言いながら結局読んでしまいました…。つい最近まで題名も知らなかったんですが、たまたま話をさらっと学ぶための漫画みたいなのでお話を知って読みたくなったので読んでみました。作者は一貫してこの物語をあくまで自分が作ったのではなくて、実際にあったことを本人から聞いたという姿勢なのか、語られているような文調でした。（私はあまり好きではありませんが。） 恋というのはここまで人を変えるのかと本当にびっくりしました。私が大人になって、恋をしてから読んだら、もっと違うことを感じるのかなと思います。2016/06/23
春ドーナツ
18
映画を観ていないので「違う」かも知れないけれど「19世紀のプリティ・ウーマン」じゃんと思う。「いのち短し 恋せよ少女」（吉井勇・ゴンドラの唄）「100％恋愛小説」（M）＊＊＊「墨東奇譚」と「ナナ」が記憶の水から浮上する。「BTTF」のデロリアンに乗ってサラ・ベルナール主演の舞台を観劇したい。言葉がわからなくても何とかなるだろう。「私（アルマン）にはこの眠っている街が自分のもののような気がするのでした」（134頁）なつかしい。こういう気持ち。「慕情･･･（L'amour）」フランス語の響きがしませんか。2018/12/21
