出版社内容情報
あまりにも名高いこの不朽の名作の表題レ・ミゼラブルとは「悲惨な人々」という意味.ユーゴーは主人公ジャン・ヴァルジャンの波瀾の一生を描きつつ,貧しい民衆に寄せる限りなき愛情,そして人類社会の進歩へのゆるがぬ確信を表現したのである.三百枚に及ぶ原書挿絵を収録.
内容説明
コゼットとジャン・ヴァルジャンは青年マリユスの前から消えた。落胆にしずむマリエス。だがある日、隣部屋にすむ怪しげな一家の様子をそっとうかがう彼の目の前に思いがけずも2人が姿を現わした。そして2人を陥れようと悪事をたくらむこの一家の正体とは…
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
125
恋に落ちたコゼットとマリユス、取り巻く周囲のドラマが後半の主軸となる。二人の純粋かつ盲目的な恋愛やその末路には家庭が破綻した著者の願望が大いに反映されていそうだ。また、隠語や下水道といった当時のパリ風俗に対する多角的な考察や、「享有と努力を、満足と要求を平均せしめよ」と「文明の野蛮人」として檄を飛ばす論舌も力がこもっている。3巻におけるバルジャンの数少ない出番であるモンパルナスへの諄々とした説諭はそのまま読者に向けられているような重みがある。亡命先からかつてのパリを追憶する著者の物寂しい姿が浮かび上がる。2018/05/25
NAO
68
コデットを苦しめ、マリユス一家とも深くかかわっていたティナルディエが再度登場。ティナルディエの悪業の数々には、本当に驚かされる。コデットにとって老いたジャン・ヴァルジャンから新しい庇護者が必要なのはわかるが、マリユスと両思いになってからのコデットは少し身勝手すぎるような気がしないでもない。確かに、人並みに恋もさせてあげたいと、ジャン・ヴァルジャンは修道院からコデットを連れだしたのだけれど、本当に、恋は盲目。2017/08/11
nakanaka
63
私が記憶している2012年の映画「レ・ミゼラブル」とだいぶ異なる印象。そちらもとても面白かったのですが、原作は当然のことながらより深く重たい設定ですね。テナルデイエ一家の凋落ぶりやマリユスのバックボーンなどは知っておいた方が面白さのレベルが違ってくるように思います。読んで良かった。いよいよ最終巻へ。それにしても長い。2023/12/20
ケロリーヌ@ベルばら同盟
50
動乱のパリに生きる人々の姿を通して、社会哲学、真の人間の幸福と社会の繁栄の在り方を問う壮大な物語の舞台は、ついに1832年『苦難と思想の火薬庫』サン・タントアーヌに至る。終生を贖罪に捧げるジャン・ヷァルジャンに迫る悪辣なテナルディエの魔手。無垢なるコゼット、マリユスの純愛。困窮により、日々の糧を贖う為、命にも代え難い蔵書を手放す老植物学者マブーフ氏。町の孤児ガヴローシュは、実の弟達とも知らず、寄る辺ない小さな兄弟に天の役割を果たす。様々な人間模様を織り込み、運命の6月5日、戦闘の火ぶたが切って落とされる。2020/07/15
chanvesa
40
ジャン・ヴァルジャンとテナルディエら極悪の連中との対決を境に、ジャン・ヴァルジャンの登場回数が激減。もうおじいさんなのでしかたないか。まるで、渥美清の具合が悪いのでどんどん登場場面が少なくなってきた後期の寅さんのようだ。物語の中心がガヴローシュやマリユスに移りつつ、六月暴動へと雪崩れ込む嵐の前といった趣。みなさんおっしゃるように隠語の解説は後で何か出てくるのかもしれないけど、関心を持てずすっ飛ばし。2015/12/29
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