出版社内容情報
本書の著者ブリア‐サヴァランという人は世にも名だたる食通だったが,これが又,ただの美食家とはわけが違う.あらゆる学問芸術に通ぜざるなく,その上,詩も作曲も,時には粋な小唄の一つも歌おうという,こういう人物が学殖蘊蓄を傾けて語る“料理の芸術”と言えば,この名著の内容をほぼ御想像いただけるだろう.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
19
冒頭解説によると、あらゆる学殖薀蓄を傾けて、 人間の幸福のために厨房の芸術について語った名著。 長い副題 「文学や科学のもろもろの学会の会員たる一教授から パリの美食家にささげられた、理論と歴史と日常 の問題を含む書」(5頁)。 「国民の盛衰はその食べ方のいかんによる」(23頁)。 早食いでは長生きできないな。 味覚は有味体が味の識別器官の感覚によって、食欲飢渇 に刺激され、生命の損失を補償する(61頁)。 まとめたつもりでも、わかりにくい。 2014/04/06
シュエパイ
12
あぁ、私も『悲しい人々のためのチョコレート』食べてみたいな♪ ありとあらゆる知識・薀蓄・経験を集めて編纂されて以来、200年近く愛されてきた芸術にして哲学にして美味を探求する書、美味礼讃。ガストロノミー(美味学)とは、あらゆる学問を内包し、人を幸せに導く、もっとも最先端の女神を冠に抱く分野なのだと。その情熱と博識には脱帽するばかり……といいたいところなんだけど、このおっさん、ところどころ何やってんだ……?(笑)魚を食べる地域の子供の偏り方と夜のXXXの観察とか、もう、医者とか何とか関係ないだろあんた!w2012/01/30
Ex libris 毒餃子
11
料理についての本だと思ったが、料理を通じての人間分析の本であった。2023/03/11
還暦院erk
11
図書館廃棄本リサイクルで頂いて我が蔵書に(何故こんな名作を図書館に残しておかないのか個人的には疑問…傷んでもいないし…)。自分イベント「岩波文庫で100冊!」41冊目。大昔少し読んだが実質初読。思ったより読みやすく、時代的限界はあるものの消化のしくみとか結構科学的知見が生かされていてびっくり。アルジェリア人から舌を切られた男の味覚の話、供宴の前菜に牡蠣一グロス(重さ約1.5㎏)ってよくあることだったがラペルト氏は32ダース食べてから普通の晩餐を平らげた話、などが面白かった。呑兵衛成分多し。下巻も読む!2019/11/04
うた
10
グルマンの古典としてよく知られる本書だが、翻訳の古さも手伝って、少なからず読みづらさを感じてしまう。味覚にまつわる蘊蓄に興味がなければ、とりあえず食物一般のエセーから読み始めることをおすすめする。七面鳥を狩ったり、大量の牡蠣を食べる客の話だったりとあわさり、サバラン氏の理論と実践を面白く読むことができると思う。2021/02/09