出版社内容情報
ヴォルテールは十八世紀文学と思想を開化させた作家であり,政治史,英雄史にとどまっていたこれまでの歴史を社会史,文化史の地盤に移した歴史家でもあって,その名声は生存中すでに全ヨーロッパに及んでいた.フランス史上豪之絢爛を誇った太陽王ルイ十四世の時代を人物,社会などあらゆる側面から分析した不朽の名著である.
内容説明
スペインの王位継承戦争から、ユトレヒトの講和、ルイ十四世の死去(一七一五)に至るまでのヨーロッパ諸国の情勢についての記述には、世界史に対するヴォルテールの卓抜な意見も織り込まれている。さらに、興味深い宮廷生活の特色と逸話の数々。十七‐二十八章。
目次
サヴォイとの条約。ブルゴーニュ公の結婚。ライスワイクの講和。フランスとヨーロッパの情勢。スペイン王カルロス二世の死と遺言。
記念すべきスペイン王位継承戦争。一七〇三年までの大臣や将軍の動静。
ブリントハイムまたはヘーヒシュタットの戦いとその結果。スペインにおける不首尾。ラミリー、トリーノの敗戦とその結果。
フランス、スペインの不首尾(続き)。ルイ十四世重臣を送って和平を乞う。マルプラケの敗戦、その他。
ルイ十四世、相変わらず、和を乞いながら、防戦につとめる。ヴァンドーム公の働きにより、スペイン王、王位に安じるようになる。
ヴィラール元帥、ドゥナンで、勝利を収める。情勢の好転。全面講和。
ユトレヒトの講和からルイ十四世の死に至る間のヨーロッパの情勢。
ルイ十四世時代の特色と逸話。
特色と逸話続き。
特色と逸話 続き。
逸話 続き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bashlier
16
5/5 一巻はフランスの快進撃にスポットライト。一方、二巻はルイ14世の絶頂期から、オランダ・イギリス・ドイツ連合の反撃、最後にはフランス側が講和を乞うまでの局面を描きます。拮抗状態が回復され、欧州に秩序が戻ります。詳細な歴史著述も素晴らしいですが、おまけとして盛り込まれた逸話や考察が秀逸。モンテスパン夫人をはじめとする女性関係、臣下多くも友人のない君主としての苦しみ、自省録的なものから、歴史を動かした背後にあるドラマが描かれています。まさに舞台脚本と歴史書の中間。2023/03/23
Tomozuki Kibe
4
ヴォルテールは哲学者というよりジャーナリストの視点。なんやかんや言いながらフランスを愛してる人。前半はスペイン継承戦争が中心。フェリペ5世としてスペイン王になる孫へほ教え「お追従屋には気を付けろ、建設的に批判してくれる人が一番大事」わあ、結構普通のおじいちゃんだw戦争減らせ、とか言う人はいなかったのかw 後半は宮廷の逸話。2024/12/31
Fumoh
3
第二巻は、かの有名なスペイン継承戦争について描く。フランス側の視点だけではなく、諸外国の視点であったり、活躍した英雄たちの紹介もする。ヴォルテールはルイ十四世を基本的に賛美しながら描いているが、実際のところルイ十四世の取った対外戦争の態度としては、とても巧者だったとは言えない。オランダを取ろうとしたのは経済的な視点から評価されるが、各国のヘイト管理はめちゃくちゃだったと言えるし、後年それを学んで陰謀を重ねてみるが、基本的に詰めが甘く、裏切られたり頓挫したりしている。むしろ戦略家としては本当に下手だったと2024/06/16