岩波文庫<br> パンタグリュエル物語 〈ラブレー第5之書〉 (改版)

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岩波文庫
パンタグリュエル物語 〈ラブレー第5之書〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 482p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003250259
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

ラブレーの壮大な世界も遂に本書で終幕を迎える.前書に引き続く島々めぐりの漂流譚で主従一行は枢機鳥,司教鳥,教皇鳥などの住む鐘鳴島,樹木に鎌や刀剣が実のようになっている鉄器具島,淫痴奇島などを次々と遍歴してゆく.苦心の訳文に周到綿密な訳注・解説が付された本書は,決定訳であり比類のない研究書でもある.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

46
徳利明神の御神託を求めて航海が続けられ、奇妙な島々が登場することは4巻と同じだが、これまでのラブレー独特の韜晦による毒々しさや馬鹿馬鹿しさがあまり見られなくなっている。また、これまで要所要所を締めていたパンタグリュエルの存在感がかなり薄くなっていて急に「私」が前面に出て来ているが、あまりパンタグリュエルを尊敬しているようには見えない「私」とは、いったい誰なのかよく分からず、もやもやした感じが残る。ラブレーの死後発表されたということもあり、この巻はラブレー作ではないと言われているそうだ。2016/12/14

てれまこし

15
ラブレーの没後に公刊され偽作の疑いがある。翻訳でもちがいは明らかである。諷刺がより直截になって韜晦さが減じているし、下ネタは健在だが糞尿は少なくなってる。それでもこれがパンタグリュエルの続編として読まれたことは歴史的事実であるし、ラブレーの遺した草稿が何らかの形で組み込まれてると思われる。徳利明神の女祭司が語る大地の信仰などは、ラブレーが明るみに出した民間信仰の理論的要約とでも言えそうで無視するのはむずかしい。よほどラブレーの思想を理解していた人が編纂したのか、あるいは当時は広く共有されていた思想なのか。2022/10/18

フリウリ

11
最終巻。ぼんやりすると忘れてしまいますが、パンタグリュエル御一行が航海に出たのは、提燈国の徳利明神に、パニュルジュの結婚についての託宣を得るためでした。ようやく提燈国に到着し、地下深くにある徳利明神を訪れ、託宣を受けたところ、託宣は「呑め」と出た。そして御一行は、呑みかつ歌い、ガルガンチュアへのお土産を積み、帰京の途について、おしまいです。今回は、読み切ることを目的としたので、ほとんど注も読まず、スピード感を大切にしました。新訳も気になりつつ、遠からず、読むことがあると思います。72023/11/21

roughfractus02

10
枢機鳥,司教鳥,教皇鳥の住む鐘鳴島,鉄器具島,淫痴奇島等の海の冒険は続くが、パンタグリュエルを主人公とした物語は「我々」や「私」なる語り手の登場で後退する。ガストロノミーや糞尿譚、韜晦的な知の氾濫する記述が影を潜めると、読者はこの書が作者不明の小編「ガルガンチュア年代記」を引き継いだことを忘れ、この巻を作者の死後別の作者が引き継いだ偽書との疑いをかける。が、書物を一人の作者に括って商品化する近代の習慣を脇におけば、エラスムスとモアに触発された教会権威への批判は、作者の権威をも弱めつつ遂行中のように見える。2019/10/02

mstr_kk

7
パニュルジュの結婚について徳利明神の神託を受けるため、パンタグリュエルたちが奇妙な船旅を続ける話、第四の書の続編です。パンタグリュエルが主人公っぽくなくなることもあり、ラブレー作ではないと言われているようですが(訳者の註も、この作品に対してはやたら厳しい)、そこにはあまりこだわらず楽しんで読もうと心がけました。徳利明神の寺院にたどり着き、ちゃんと完結してくれたので良かったです。終盤の、そうとう読みづらい寺院の内部の描写などは、読者の頭をぼーっとさせる『神曲』のサイケデリアに通じるものがある気がしました。2014/10/31

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