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岩波文庫
ラデツキー行進曲〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 329p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003246238
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

内容説明

絢燗のウィーン、頽廃の国境地帯、混乱の東部戦線―一族三代の運命を通して、鋭い歴史叙述と深い情感が描きだす、多民族国家ハプスブルク帝国の落日。ナチスの猛威迫る一九三二年、放浪のユダヤ人作家ロート(一八九四‐一九三九)が書き上げた畢生の大作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

109
オーストリア・ハンガリー帝国、ハプスブルク家の終焉。皇帝フランツ・ヨーゼフとトロッタとの関係の始まりから一気にすらすらと読んでしまったが、物語にはまり込むような面白さがよくわからなかった。トロッタ一世の人生や皇帝との関わりは興味深いが、トロッタ三世の人妻との恋愛が表に出てくる後半は、ああそうかと読んでしまうだけだった。当時の歴史に詳しければ、各場面の時代背景もわかってまた味わいが違うのかもしれない。後半に期待。2017/01/02

nobi

89
久々の長編。丘陵地帯を進むロートが御する馬車から懐かしい風景を眺めるよう。移りゆく景色や場面が、トロッタ一家の者達のそして読み進む私自身の心情と溶け合うゆったりとした時間が流れている。第1次大戦前、夜は闇の深さを湛え、芳香が夏の夕べの匂いと混ざり合い、厳かさが忠誠心を従えていた時代。ハプスブルク帝国の命運が尽きようとしていてもフランツ・ヨーゼフは敬愛を受くに相応しい皇帝として在り、「ラデツキー行進曲」は崩れ行く君主制の世界を一時的にせよ忘れさせ気分を高揚させた。愛惜を込めて語るに足る世界がこの上巻にある。2018/04/08

星落秋風五丈原

40
【ガーディアン必読1000冊】 スネアドラムから始まるラデツキー行進曲は、誰もが知るシュトラウスの名曲だ。素直な旋律で新年に演奏されることが多い。本編においても、トロッタ家の二代目フランツが地方長官となった晴れがましい日に演奏され、その息子カールに鮮烈な印象を与える。祖父が偶然皇帝の命を救ったことで、一代にして男爵位を得たトロッタ家三代の男達の生涯を縦糸に、彼等が生きた国=オーストリア・ハンガリー二重帝国の運命を横糸に描く。前者は祖父の輝かしい戦績から孫に至るまでに徐々に萎み、後者も老皇帝のもと滅びる。2021/01/04

みつ

29
これもハプスブルク関係の本。『ラデツキー行進曲』といえばウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートのアンコール最終曲として必ず演奏される曲であるが、オーストリア軍の英雄の名を冠することからも軍楽隊での定番曲であった模様。裏見返しには、「一族三代の運命を通して・・・描き出す・・・ハプスブルク帝国の落日」とある。実際は、1859年のソルフェリーノの戦いから、上巻の3分の1程で孫の代に飛び、将校の部屋には電灯が設置されている(p122)ことからも、時代は20世紀、いよいよ帝国の終焉が近いことを思わせる。➡️2023/06/18

Nobuko Hashimoto

25
ハプスブルク帝国末期をノスタルジックに描いていると言及されることが多く、読まなくてはと思いつつ後回しにしていた作品。世紀転換期の同帝国の社会について話す機会があって、とうとう読み始めたところ、予想よりもコミカルさのある簡潔な文章で面白い。当時の男女関係や軍隊生活、ガリツィア地方の様子、ナショナリズムの盛り上がりといった、知りたかったこともすべて盛り込まれていて参考になった。同時代の作品は研究書にない臨場感があるなあ。下巻も楽しみ。2021/06/30

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