出版社内容情報
旅行好きの著者が若い頃旅したインドの地をふりかえる.太陽と生命の横溢するインドという特異な雰囲気に包まれた魂の,詩人的な冥想的な記録となっている.現地の人びとや動物たちへの,尊敬と愛情のこもった語り口がすがすがしい.一方で,イギリス政府の酷薄な支配にも鋭い視線を送っている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
10
蜜蜂マーヤの作者であり、かなり変わり者。その観察眼が独特である。インド滞在にあたり七年間借り手のなかった邸宅に決めた著者。「余は無言のまま一群の白蟻を観察していた。蟻は床板と壁とを極めて巧妙に掘りづくして、彼等の村落を構へていたのである。おれはお前たちの邪魔はしないよーと余は考えたーお前たちの王国は、おれの支配のもとで未曾有の隆盛に達するかとになるぞ」「彼は、余がガラス箱の中に生きたコブラを飼っているのに気づいたとき、余から身を引いてしまった。二度と余の閾をまたがず、二度と余の手に触れなくなった。」2021/11/14
魚53
4
最初の1〜2ページを読んだだけで、インドの熱帯の匂いがしてきたので、思わず購入。とにかく、インドの風景描写が素晴らしい。夜の窓の外に鬱蒼としげるヤシの葉の形が月光に照らされて透かし見える風景、空気の中に混じっている野生の動物たちの匂い、現地のインド人たちの焚くお香、そう言ったものがリアルに感じ取れる。訳が古めかしいが、それがまた魅力。作者は蜜蜂マーヤの著者だけあって、動物や虫と言葉が交わせたようだ。猿や片羽のないハエ、猫や蛇、豹などの描写も素晴らしい。インド人の召使たちとのやりとりも魅力。2020/03/09
misui
2
新ロマン主義の詩人ボンゼルスによる紀行文。ロマン主義的な大げさな表現や夢想がてんこ盛りなのに加えて、先進国の人間の驕りが鼻についてどうしようもない。『蜜蜂マーヤ』の作者らしく動物が多く登場するのがポイントだろうか。2016/03/05
TAKAO
0
時代に相応した白人のお金持ちの紀行という感じ。2015/12/13