岩波文庫
ガリレイの生涯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 309p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003243923
  • NDC分類 942
  • Cコード C0198

出版社内容情報

地動説の撤回をめぐって教会とガリレイとの間に起った歴史的事件は「それでも地球は動く」という伝説的名句とともに誰もが記憶にとどめている.ブレヒト(一八九八―一九五六)はガリレイの人物と時代を知悉してそれを戯曲化し,彼の生き方を問うことによって,ナチ時代を生きた作者自身の,そして我々の生き方をも問うている.

内容説明

地動説の撤回をめぐって教会とガリレイとの間に起った歴史的事件は「それでも地球は動く」という伝説的名句とともに誰もが記憶にとどめているに違いない。ブレヒト(1898‐1956)はガリレイの人物と時代を知悉してそれを戯曲化し、ガリレイの生き方を問うことによってナチ時代を生きた作者自身の、そうして我々の生き方をも問うている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マウリツィウス

16
【ガリレイの生涯】古典的踏襲方法論導入にて再現された天文世界を空間劇場と変換することで事実ガリレイは異端審問批判をも兼ねた。古典ギリシャ時代における彼の生涯と克服とはLEBEN、つまり精神史上における重要位置を定義しただけではなく再重要文書であった『天文対話篇』集約に意見を言及可能だ。従来天文意識を神聖喜劇以降に記述した作品は少なく、古典的方法論をギリシャに見出したこのガリレイの記録世界とは普遍統治を可能とした。臨在と遍在はこの世界を総べる帝国を否定反転するも実際面では明晰な洞察と炯眼で以て同時代を知る。2013/07/02

マウリツィウス

12
ブレヒトの告げた「告白」は彼の生涯LEBENを明晰に描き切った。史実を否定しない純粋手法は惑星地球儀という現代文明への批判意図を舞台化した。「劇場」つまり舞台芸術の特権性を再証明した点でシェイクスピア演劇の幻想性を史実とリアリズムの合一化に変え「宣言」し、歴史主題とは真実と事実を陳述。ここに登場するガリレイの姿は実際の出来事、何故ならば起因する全ての舞台装置は現代芸術における象徴記号論、表現領域は「記録」を忠義とし天動説の絶対性が今尚欧米圏に続き、後世のクラークSFをも先駆的に反証明化していた道標を意味。2013/06/08

kozy758

10
ガリレイの挫折は現代に生きるわれわれにも教訓を残した。不遇な晩年は報われたのだろうか。2015/05/28

はる

7
科学と政治。政治的なものに対する科学者の態度。この当たりがメインなのだろう。ブレヒトは新時代のへぼ画描きヒトラーでさえも新時代を約束し、世紀の変わり目に労働者は感激していたと言う。そのような雰囲気がガリレオの時代にもあった。カトリック教会も認めるエリートパイオニアのオーバー過ぎた希望のあとに来るオーバー過ぎる絶望。ヨーロッパ時代の台本も権力問題はテーマであったがアメリカ亡命後の台本構成中にヒロシマナガサキ原爆投下された。そのことがテーマをより鋭く時代を越えたものにした。2022/01/06

刳森伸一

7
宗教裁判で自説の天動説を曲げざるを得なかったガリレオ・ガリレイの後半生を描く戯曲。「英雄を必要とする国は不幸だ」という台詞で有名だが、その台詞が主題の中心というわけでもなく、転向の是非と「真実」を知るものの責任などが主な主題だろう。ブレヒト特有の説教臭ささが薄く、開かれた結末になっていると思う。2020/05/24

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