岩波文庫
指導と信従

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  • サイズ 文庫判/ページ数 255p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003243664
  • NDC分類 940.28
  • Cコード C0198

出版社内容情報

自分を導き,共に歩んでくれた人々に対する感謝と追憶の書.幼年時代から第一次大戦の末期にかけて体験した様々な出来事や忘れえぬ人々との交わり.カロッサの詩人・作家としての歩みにおいて重要な役割を果たした先達や仲間たち,中でも詩人リルケとの出会いを述べたくだりは確かな筆致で描かれ,鮮やかな印象を残して圧巻.

内容説明

自分を導き、共に歩んでくれた人々に対する感謝と追憶の書。幼年時代から第一次大戦の末期にかけて体験した様々な出来事や忘れえぬ人々との交わりを描く。カロッサの詩人・作家としての歩みに重要な役割を果たした先達や仲間たち、なかでもリルケとの出会いを述べたくだりは本書の白眉である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

5
1933年初出。「私たちはもっと明るい未来を予感しているのに、人生が短いために焦慮して、錯覚におちいってしまうのだ」(99ページ)。時間間隔が鈍っては充実した人生は築けぬ。色彩描写が秀逸なのは「白茶けた地面の上には、(略)アルニカの茶色のつぼみの中から赤鉛筆のようなものが芽吹き、(略)葉の大きい、ぽっちゃりとした植物が生い茂って、花弁の白い花を咲かせ(略)蛙の卵が黒いずっしりした葡萄の房のように浮かんでいた」(171-2ページ)。体罰と「指導」が問題化したが、手仕事屋きち兵衛氏が人差指の指摘をされて共感。2013/02/06

camus

3
後半は第一次大戦に軍医として従軍した日々が最後まで続く。負傷し戦地から帰還する途中自分の出した本が古本で並べられているのを発見し、そこからの自身の詩作活動への決意が語られるところがクライマックス。医者と詩人、この二つは互いに補い合って自分を向上させるという。医者の体験、患者とのやり取りが詩作に生かされることも、文章力、表現力が医学的な診断書や報告書の作成に生かされることもあるだろう。ただ一般的には実務文書と文学的表現を混同するのは危険だろう。自身の成長の記録を描き子供時代を過ごした地を再訪し感傷にふける。2017/03/19

ラウリスタ~

3
今年の岩波はこれでカロッサ4冊目?一気に出すな。おかげで全く知らなかったカロッサをまとめて読めるようになった。ところで、カロッサって何がいいんだろう。別に面白くはないし、医者をしつつ詩も書く、中途半端な小市民的とも思える生き様は関心を引かないし。19世紀ドイツ的な夢みがちな詩人が20世紀ドイツをどのように生きていくのかってとこは面白いかもしれない。でも、発展小説、教養小説としてゲーテの足元にも及ばないし、ヘッセほど熱くもない。詩を読んでないから、何にもいえないか。2012/11/10

さんとのれ

1
詩への情熱を抱えながら医者としての生活を始めたカロッサが、人生のすべてを芸術にささげる詩人たちとの出会いや、病気や戦争に翻弄される多くの生と死を通して、医師という職業の意義を再確認し、なおかつ詩人としての自分がそれと共存できるようになるまでを描く。この人の本を読むと感受性が強い人は生きるのが大変だろうなあと思う。しかもこの記憶力。2014/08/02

大臣ぐサン

1
カロッサ4冊目。大学を卒業し開業医と詩人の二束のわらじを履くことになったカロッサ。同時代の詩人との出会い。第一次大戦に軍医として従軍したときの体験の中で医者と詩人の間で揺れる苦悩を描く。正直カロッサはお腹いっぱいだなぁ。モームの実体験をフィクションにするために再構成するという手法とは真逆。詩人だからか文章も余計な装飾がちりばめられて煩わしい。トーマス・マンやヘルマン・ヘッセに並ぶくらい世界中に読者がいるとあとがきに書いてあったが本当なのだろうか。疑わしい。2012/10/12

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