出版社内容情報
ゲオルゲ(1868‐1933)――リルケとともにこの詩人をおいて,ドイツの近代詩は語りえない.彼の出発点は芸術至上主義であったが,のち,20世紀初期の時代苦を鍛えぬかれた言葉と形式によって次々にうたいあげた.本書には彼の最も魅力的な詩集「魂の一年」の中の名詩をはじめ,全詩集から選りすぐった84篇を収める.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
20
19世紀半ばから20世紀前半を生きたドイツ象徴主義(自然主義や高踏派の客観的表現に対する反動として現れ、暗示的な表現と詩句の音楽性を重視して、内面的世界を表現する)の詩人で、マラルメやヘルダーリンに影響を受けている。象徴主義詩人であるので表現が抽象的で、何のこと、誰のことを歌っているのかさえあまりはっきりとは明示されないし、音律美や形式美も翻訳では味わえないので難解にも感じるが、絵画で言えばラファエル前派のような、しっとりとして気品のあるその耽美性の一端は感じることができたように思う。2020/11/20
壱萬参仟縁
15
「あの乞食の吹きたてる唄は 甲斐なくあなたをいざなうわたしの誉め歌のようだ、 泉から遠く離れて吹き出して あなたが蔑んで飲もうとしない小川のようだ」(80頁)。 最後には、 「あなたは高貴な一族のみずみずしい若枝、 泉のように深くて 素直に瞳を見ひらいている、 立ちのぼる焔のようにほっそりとして澄んでいる、 朝のようにやさしく あかるい」(189頁)。 2014/04/09
双海(ふたみ)
14
正直、よくわからなんだ・・・。2015/09/18
ダイキ
4
「きみは受けた 与えた、/掟の欲するままに。/きみから何物も脱落せぬ きみは何物をも脱落せしめぬ、/万人の歩みが円環となって結ぶまでは。/きみは喜びをも 終着の地をも/いまよりまさるものをも 追わぬがよい。/高貴な者は神の葡萄酒を/貪婪には嚥みくださぬのだ。/それゆえ現世の行為の岨道を/きみの重荷を誇りとして歩め!/そして掟の全能をたたえよ、その渦潮も/けっしてきみを深淵に引きこみはしないのだ。」〈きみは受けた 与えた……〉2016/10/03
きゅー
4
『生の絨毯』に続けて、今度は手塚訳でもう少しだけでも理解を深めようと思ったけれど、むしろ余計わからなくなったというのが本音だ。ゲオルゲはギリシアやドイツ古典主義時代の作品を当然知っているものとして、そのイメージの上に自身の言葉のイメージを重ね合わせ、その差異や、重ねあわせた意味を読み取らせようとする。しかし私はその基となる知識を持っていないために、彼の言葉の曖昧な難解さだけが目に見えてしまった。しかし彼の詩の持つイメージを純粋に眺めれば、その感覚的な詩行の美しさが際立っていることも分かったのは幸いだった。2013/02/25
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- 浮世絵花々の美 〈1〉