出版社内容情報
女主人公ヘーローは厳格な戒律に縛られた神殿の巫女の生活へ第一歩を踏み出す当日,皮肉にも多感な青年レンダーと出逢って恋を知る.2人の住む町は海峡に隔てられているが,情熱に身を委せた青年は海峡を泳ぎ渡ろうとしてついに空しき亡骸となって岸辺に打上げられる.海の波は恋の波と唱和しつつ2人の愛の讃歌に伴奏をつとめる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
50
語られるのはギリシア神話、ヘーローとレアンドロスの悲劇。物語はヘーローが社の巫子として純潔の誓いを立てる祭りの日、二人の出会いの日から始まって、海を挟む二人の恋へ、悲劇の結末へと進みます。海は二人を引き裂き、またヘーローが夜通し灯す火、レアンダーが海を渡る目印とする明かりを通して二人を結び付け、同様に恋人たちを引き裂く両岸の対立と巫子の誓いも、どうしようもなく彼らを結び付ける。「短くはあったが永遠の一瞬」、ヘーローが「自由選択」で選んだ恋、その恍惚を前に社の祭司の語る「義務」は何と空疎に響くことでしょう。2019/02/12
のほほんなかえるさん
0
ギリシャ神話から材をとった作品。悲劇だった。2011/01/12