感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
棕櫚木庵
16
『晩夏』読了後,こちらも読んでみたいと思いながらずいぶん経った.読友さんが『晩夏』を挙げていらしたのを機に,やっと読んだ(読友さんに感謝).『晩夏』同様,話の筋よりはその舞台と登場人物の魅力で読ませる小説だった.▼「水晶」とは石英じゃなくて氷河のこと.雪と氷河の中に迷い込んだ兄妹の話.「人間生活におけるうつくしいこと,けなげなことを,常に声ひくく語るひと,けっして大言壮語しない」(p.93, 訳者解説)けど,雪と氷の世界の迫力とそのなかを絶望もせずに歩き続ける兄妹の姿が印象的だった.一方,→2025/11/01
クナコ
15
初読。表紙のあらすじにクリスマスの時期の物語とあったので。しんしんと降る雪と、氷の迷宮の情景が瞼の裏に美しく、透明なクリスタルの響きが遠く聞こえてくるような気持ちになる作品だった。兄妹の幼さゆえの愚かな前進の連続がいじらしく、ラストシーンは本当にほっとした。1952年の版を読んだため漢字の多くが旧字体だったものの、それぞれの文節は平易だったため読みやすかった。むしろそのあとの序文や解説の方が難解で疲れた。機会があれば他の「石さまざま」収録作も読んでみたい。2021/12/20
藍
2
情景の美しさと兄妹2人で山の中に閉じ込められる不安感、そして最後の暖かなラストが綺麗な作品でした。私が友人借りたのが「水晶」しか収録されてないバージョンだったので他の短編も読んでみたい。2013/11/06
昼
1
昔、祖母がくれた本。母が愛した本。初読。美しく過酷な大自然の中を歩み続ける兄妹。水晶という完璧なタイトル。2021/05/24
J_L_B_459
1
そうよ、コンラート Ja, Konrad! の訳出に苦心したとのこと。ザンナのいじましさが引き立った。 わからなかった旧字など p76 合圖 合図p89 こうき 灝気p93 放恣 ほうしp95 文藝の轉囘(転回)2023/05/20




