• ポイントキャンペーン

岩波文庫
タッソオ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 262p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003240755
  • NDC分類 942
  • Cコード C0198

出版社内容情報

「若きウェルテルの悩み」で青年の悲痛な自己告白を試みたゲーテは「タッソオ」において壮年のいっそう複雑な深刻な悩みを描写することに成功した.じっさい,私たちの胸のうちにも詩人タッソオが住まっているのではなかろうか? 私たちも時には彼と同じ状態に陥るのではなかろうか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きゅー

8
『ゲーテとの対話』のなかでゲーテは、詩人にとって客観的な観点を持てるかどうかが重要だということを述べている。その視点がなくては普遍的な作品を書くことはできず、人種、性別、時代を越えて共感を呼び起こすことも無理だという。この劇作では、そのための社会的な経験をタッソーが得ていなかったことが指摘される。ゲーテがこの劇作を書いたのは40歳を過ぎた頃。まだ『ファウスト』等の大著は書かれていない。タッソーを偉大な詩人と認めつつも、さらにその先へ進もうというゲーテの矜持が見えてくるような気がした。2012/11/22

tieckP(ティークP)

5
再読。たぶん潮出版の新字のもので読んでたけど、こちらも旧字体に抵抗がなければ悪い訳ではない。丁寧に読むと苦しくなる作品で、タッソーは病跡学的にみてしまえばただ病気のひと、一般的に言って「イタい」ひとなのだが、最初他の人物に囲まれて無邪気に幸せに過ごす場面では共感を迫られるだけに、その後の変貌に、自分の醜さを見せつけられるようで辛くなる。人物配置は巧みで、すでにそれぞれの人物が自身の利害に沿って行動しているのが見て取れる。ゲーテの代表作ではないけれど、佳作と呼ぶには力強さの光る(それでいて優雅な)作品。2015/10/16

有沢翔治@文芸同人誌配布中

4
 ルネサンスのイタリア。偏屈な詩人、タッソオはアルフォンス二世の依頼で詩を書いていたが、推敲したいと言い、なかなか献辞しようとはしない。妹のレオノオレが催促しているところへ、大臣のアントニオがバチカンから戻る。詩のことで言い争いになり、決闘にまで発展した……。 https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51533797.html2024/05/27

ダイキ

4
大学図書館。「一切はすぎ去った。残ったものはただ一つだ。/それは自然が授けてくれた涙です。/男がいよいよこらえきれなくなった時にあげる/苦痛の叫びです。そして私には特別に、/深い深い窮迫のすべてを訴えるべく、/旋律と美しい表現とを、自然が苦痛のなかに残してくれました。/そして人間は苦痛におそわれると沈黙するものなのに、/私には或る神が、自己の悩みを言い表す力を授けてくれたのです。」2016/10/04

fewaji

3
五幕で構成されるこの定型悲劇は冒頭より末尾に至るまで栄光の頂点から奈落の底へと直線的に運動する。麗しい喜びの歌を紡いだタッソオの唇から次第に禍々しい呪詛の言葉が垂れるさまは余りにも痛々しい。「吾々は相手の方からも誤解してもらいたいばかりに礼儀正しく相手を誤解するのだ。」そう自虐的に言い放つタッソオの苦渋に満ちた顔が眼前に立ち現れてくる。2009/06/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/112404
  • ご注意事項

最近チェックした商品